著者
橋本 令子 加藤 雪枝
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.127, 2004

【目的】現代はIT化、デジタル化時代といわれるが、人は時間に追われストレスに埋もれている。その緩和策として快い音を耳にしたり、美しいものを見ることにより安らぎ感や安心感を得ようとする。そこで今回は、生理評価と心理評価の測定を、環境音に映像を加えることで聴覚と視覚の刺激が複合され、相乗効果が期待できると考え研究を行った。【方法】音刺激はのどかな、わくわく、騒々しいといった観点から、川のせせらぎ、小鳥の鳴き声、列車音、海辺の波音、花火の音、街の騒音の6種とし、映像刺激は音の効果を反映するものとした。被験者は13名である。生理評価は、椅子に腰掛けた閉眼状態で音のみ呈示した場合と、開眼状態でスクリーンに提示された映像をみた場合の脳波(α波含有率、1/fゆらぎ)と心電(心拍変動)を測定した。その後、心理評価として10形容詞対を用いてSD法を行い、呈示方法の違いによる生理と心理評価の関連を追究した。【結果】音と映像による心理評価は「快適性」と「活動性」の因子が抽出された。映像の種類によってα波含有率に差が生じ、花火、列車音は映像呈示することによりα波が喚起され快適感が得られ相乗効果が認められた。川のせせらぎ、小鳥の鳴き声、海辺の波音は音のみ呈示、映像呈示ともに快適感が得られた。しかし街の騒音は、映像呈示により不快感が増しα波が抑制された。1/fゆらぎは、映像呈示後の出現人数が最も増加し、視覚から得られた情報が終了後も反映された形態を示した。心拍変動については映像呈示中にリラックス感を得た。生理と心理評価との対応において、α波含有率は「快適性」「活動性」の因子と関係が明らかとなり、心拍変動は「快適性」の因子と関係が認められた。
著者
加藤 雪枝 橋本 令子 雨宮 勇
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.16-25, 2004-03-01
参考文献数
6
被引用文献数
6

色は、人の感情に直接働きかける力があり、人とは深い関わりがある。色の効果を生活の中に取り入れ、快適な環境を作ることを目的とした。マンションの一室6畳(2.35×3.28×2.30m^3)カーペット、壁、カーテンの色を6色に変化させ、実空間の中で色が人間に与える心理的、生理的作用を調べた。生理的には心拍変動と脳波のα波含有率を調べ、心理的作用の解析にはSD法を用いた。黄、オフホワイトは、α波含有率が高値を示し、副交感神経活動側に傾き「くつろぎ・平価性」の因子の関与を高める。暖色系の色は、「活動性」と「寒暖」の因子の関与が高く、HF成分、1/fゆらぎがみられ生体に快い興奮状態が生まれ、快適性を高めることが示唆された。寒色系の色の効果は乏しい。空間の色の快適性には「くつろぎ・評価性」、「活動性」及び・「寒暖」因子のバランスが重要であることが示唆された。
著者
橋本 令子 加藤 雪枝 椙山 藤子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.295-301, 1985-07-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
2

本研究は嗜好色, 着用色による色彩の嗜好性と被服を選択する際に考えられるファッション意識との関連性を追及した.嗜好色, 着用色の調査は, 面接調査法を用いて行い, 色の出現率を求め, 色相, トーンによる出現傾向を調べるとともに相関係数, 分散分析によって嗜好色, 着用色の関係を検討した.ファッション意識は, SD法によって評価し, 基本因子を抽出し, 各因子別に色彩の嗜好との関連を調べた.その結果, 嗜好色, 着用色は無彩色の出現率が高く, 色相においては赤, 黄, 青, 緑系, トーンにおいてはl, t, b, v, pトーンが多く出現した.また嗜好色, 着用色に及ぼす色相, トーンの効果は, 色相よりもトーンが大きく影響した.ファッション意識に対する基本因子はファッション関心度, 流行意識, 着用態度, おしゃれ態度, 嗜好性の5つであらわされた.色彩の嗜好と因子別によるファッション意識との関係は, 因子間による差異が小さく, 色彩の嗜好は, ファッション意識の各因子に対して類似した考え方を持っているものと思われた.
著者
大森 正子 橋本 令子 加藤 雪枝
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.50-63, 2002
参考文献数
27
被引用文献数
14

本研究では、色彩刺激が、心理と生理に及ぼす効果について明らかにすることを目的とした。色相・明度・彩度と面積の違う合計60試料を作成し、光色刺激による、自律・中枢神経活動を評価するための指標として、心拍変動と脳波の測定行った。心理評価として、SD法による因子分析を行った。実験の結果、以下のような知見が得られた。・開眼状態であっても、α波含有量が後頭部位において顕著に喚起されていた。・小さい面積条件では、光色刺激のCuv^★が、高値になるほど、心理評価の「活動性因子」を高め、α波含有量を抑制することが示喚された。・大きい面積条件では、光色刺激のHuv°が、高値になると後頭部位において、α波含有量を喚起することが示喚された。・感情や情操に関わりのある、前頭部位において、純色、低彩度の光色刺激で、色相のG-P系で、α波成分に1/fゆらぎがみられた。副交感神経活動側に傾いていて、1/fゆらぎを示している光色刺激は、大きい面積条件では、純色赤(5R5/14)・青紫(5PB4/12)、小さい面積条件では、純色黄赤(5YR7/14)・高明度青(5B8/5)であった。生体が安静状態であり、快適に感じているということが、示喚される。・交感神経活動側に傾いていて、1/fゆらぎを示している光色刺激は、生体がよい意味で興奮状態であり、快適に感じているということが示喚された。
著者
加藤 雪枝
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.210-219, 2005-09-01
被引用文献数
1

日常生活において色は単色で存在することは少なく、形状や面積の異なる複数の色が同時に私たちの目を刺激する。この研究は2色配色に注目し、配色が人間に与える心理的、生理的影響を調べた。2色配色関係に基づいて、系統的に色の組み合わせを行い、脳波・心電計測による生理的結果と、SD法による心理的結果からその関連性について検討した。2色配色のイメージは「くつろぎ・評価性」・「活動性の因子」の2因子で構成される。2色配色が基本色に対して色相関係、明度, 彩度関係が共に類似関係にある場合、α波を喚起し、色相関係が同一であり、かつ明度, 彩度関係が対比の場合、α波が抑制される。基本色緑みの青(5B4/8)や緑(5G5/10)との配色においてα波含有率が高く、基本色赤(5R5/14)との配色では低くなる。基本色緑を含むすべての配色は1/fゆらぎが認められ快適である。心電解析結果のHF成分及びLF/HF成分の値において、色相が対比関係あるいは明度, 彩度が対比関係にある場合、精神的負荷が小となる傾向を示す。「活動性」が中庸である場合、その配色は生理的精神負荷が少ない。
著者
大森 正子 橋本 令子 加藤 雪枝
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.50-63, 2002-06-01
被引用文献数
14

本研究では、色彩刺激が、心理と生理に及ぼす効果について明らかにすることを目的とした。色相・明度・彩度と面積の違う合計60試料を作成し、光色刺激による、自律・中枢神経活動を評価するための指標として、心拍変動と脳波の測定行った。心理評価として、SD法による因子分析を行った。実験の結果、以下のような知見が得られた。・開眼状態であっても、α波含有量が後頭部位において顕著に喚起されていた。・小さい面積条件では、光色刺激のCuv^★が、高値になるほど、心理評価の「活動性因子」を高め、α波含有量を抑制することが示喚された。・大きい面積条件では、光色刺激のHuv°が、高値になると後頭部位において、α波含有量を喚起することが示喚された。・感情や情操に関わりのある、前頭部位において、純色、低彩度の光色刺激で、色相のG-P系で、α波成分に1/fゆらぎがみられた。副交感神経活動側に傾いていて、1/fゆらぎを示している光色刺激は、大きい面積条件では、純色赤(5R5/14)・青紫(5PB4/12)、小さい面積条件では、純色黄赤(5YR7/14)・高明度青(5B8/5)であった。生体が安静状態であり、快適に感じているということが、示喚される。・交感神経活動側に傾いていて、1/fゆらぎを示している光色刺激は、生体がよい意味で興奮状態であり、快適に感じているということが示喚された。
著者
加藤 雪枝 橋本 令子 雨宮 勇
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

現代の社会生活においては、毎日の生活の中に人間が本来求めている方向性を見極め、安らぎのある生活空間を特に必要としている。本研究は最も身近な環境すなわち、生活環境の色、室空間容積と照明や音環境などを整え、日々のストレスを解消していく環境とは何かについて研究するものである。生理学的には刺激に対する人体反応の評価方法として有効な中枢神経活動や自律神経活動の測定方法を用いた。中枢神経活動の測定には脳波計を用い、自律神経活動の測定では心電計を用いた。心理学的にはSD法を実施し、因子分析などの解析法を用いた。生活環境下の光色刺激、室内空間や被服の色などの身近な生活環境の色彩について心理的・生理的影響を調べ、比較検討した。対象が異なっても、心理評価の活動性の因子は刺激の高い色において高まり、その結果、α波含有率が抑制され、HF成分は小値となり、評価性の因子が低下することが確認された。音刺激を受けるとα波含有量が増加する環境音は、小鳥のさえずりと風鈴であり、リラックス状態を示した。また花火は、情景を連想して興奮状態となるが、快適な気分となることが確認できた。ヒーリング音楽は、音楽開始後にα波含有量が増加し、音楽を聴取した場合の影響がわかった。そしてヒーリング音楽は、単調で落ち着く音楽が生理評価と心理的評価においてよい影響を与えることが明らかとなった。好みの音楽は、快適感を得る音楽と明るく元気のでる音楽が生理的、心理的評価によい影響を与えた。空間容積、内装色、照度の違いによる快適感の実験である。空間容積では、天井高が2.3〜2.7mで見ると4種の面積のうち6、12畳の長方形空間が快適感が高く、天井高2.3mに限定すると4,5畳が最も高いことがわかった。照度では、270Lx近辺で快適性の高い範囲があり、これは被験者の自室の大きさに近いことが影響を与えていると考えられる。照度を5Lx〜1500Lxに広げると照度が増す毎にα波出現率が下がることが示唆された。
著者
加藤 雪枝
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.249-259, 1995-03-15

三色配色模様の色と形がイメージにいかに影響するかについて検討した.具象形,幾何形,抽象形の各種三色連続模様をテレビモニター上に呈示し,形容詞対を用いて評定した.そして多変量解析法により解析した.人はこれらの模様の色と形の物理的な性質によって類似性を判断し,そのイメージを誘導する.そのイメージは力量性,活動性,華やかさそして評価性の因子で表される.力量性と華やかさの因子には三色の配色関係が影響し,活動性の因子には形が,評価性の因子には色と形が関与することが明らかになった.