著者
斎藤 嘉孝 木村 忠正
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:09151249)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.45-58, 2004-09-30

情報化の進展によって人びとが懸念することの1つにデジタルデバイドの問題があるが, 本稿ではデジタルデバイドへの懸念が日本社会において集団間で差があるかどうかを検証する。性別や年齢といった人口学的集団で差がみられるのか。あるいは階層集団によって差があるのか。あるいは情報機器(PC, 携帯電話)の使用の有無で差があるのか。これらの議論の根拠となるのは, 橋元(2001)の提示した「合理的無知」という概念であり, それによれば人びとは情報機器を使用しないことをあえて選択することが少なくない。つまり, デジタルデバイドの懸念を感じるような社会的認識に, 日本社会は至っていないと解釈できる。情報化の進展は目まぐるしいが, はたして橋元の調査以降もこのような状況が続いているのかどうか, 2001年と2003年に収集された全国対象のパネルデータを用いて検証する。また, 2時点での変化も考慮し, 使用機器の開始や中止, あるいは地位移動がデジタルデバイドへの懸念に影響を与えたかどうかをも検証する。さらに, デジタルデバイドへの懸念を2時点間で増加させた層がいるとしたら, それはどのような人びとなのかも分析する。結論として, 集団間でデジタルデバイドへの懸念があまり存在しないということが, 分析結果からいえる。2時点の変化を考慮しても同様の結果だった。それが意味することは何なのか, 日本社会の情報化の特質をふくめ詳しく検討する。

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[大学院研究計画書用][デジタルデバイド]

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