著者
木村 忠正
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.43-60, 2018-07-31 (Released:2018-10-13)
参考文献数
32

People’s activities on the Internet are becoming digitized, and substantiveanalysis methodologies such as quantitative content analysis and network analysisare developing rapidly. Meanwhile, they cultural anthropology is methodologicallycharacterized as essentially qualitative, with ethnography at their core.How can cultural anthropology approach our online activities and our lives ingeneral with the Internet as a component through the method of ethnography?It is necessary to fundamentally revisit the conventional methodology built onthe premise of the analog age with regard to ethnography in the context of thecyberspace field. Accordingly, cultural anthropologists who are interested in Internet studiesand communications researchers who engage in an ethnographic approach haveaccumulated diverse developments in methodological discussions surroundingonline ethnography, virtual ethnography, digital anthropology, and so on. Based on the author’s awareness of these issues and the developments inscientific discussions, has been proposed hybrid ethnography. The aim of thispaper is to clarify the methodological subject of media studies pertaining to thedigital network age based on the research the author conducted in online publicopinion as part of the larger framework of the changes in ethnographicalapproaches, while attempting to propose concrete arguments on the methodologyof hybrid ethnography by presenting research examples that include theelements of: 1. quantitative content analysis, 2. data structure analysis( variousmethods of multivariate analysis), and 3.( social) network analysis.
著者
木村 忠正
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.65-84, 2020-07-31 (Released:2020-09-26)
参考文献数
22

During the first two decades in the 21st century, it is clear that for themass media, which played a major social role in the last century, its role hasrelatively been diminished, and the Internet has penetrated deeply intoJapanese society. What are the implications for society of this change from an era in whichmass media exerts a great influential power to shape society at large to anera in which the Internet also plays a major role? If we contrast the massmedia and the Internet, the characteristics of the Internet are said to be“diversification,”“polarization,” “filtering,” and “micro-targeting” which drivesits growth as an advertising medium. In the political dimension, thesecharacteristics have attracted strong social and academic interest, as they aresupposed to produce the phenomenon of “social polarization” and “echochambers.” In this paper, I would argue that the technological determinism that “theInternet intensifies social polarization” is false. I propose to consider therelative reduction of the role of the mass media and the expansion of theInternet media not as the “from the masses to the net” phenomenon but asthe “formation of a polymedia society.” My study, after specifying an “echo-chamber scale” using social survey data, suggests that the higher the mediadiversity, the lower the echo-chamber degree. That is, active use of thepolymedia environment is important to reduce the echo-chamber degree.From this perspective, the concern is that Japanese society has a high echo-chamber level compared internationally.
著者
斎藤 嘉孝 木村 忠正
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:09151249)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.45-58, 2004-09-30

情報化の進展によって人びとが懸念することの1つにデジタルデバイドの問題があるが, 本稿ではデジタルデバイドへの懸念が日本社会において集団間で差があるかどうかを検証する。性別や年齢といった人口学的集団で差がみられるのか。あるいは階層集団によって差があるのか。あるいは情報機器(PC, 携帯電話)の使用の有無で差があるのか。これらの議論の根拠となるのは, 橋元(2001)の提示した「合理的無知」という概念であり, それによれば人びとは情報機器を使用しないことをあえて選択することが少なくない。つまり, デジタルデバイドの懸念を感じるような社会的認識に, 日本社会は至っていないと解釈できる。情報化の進展は目まぐるしいが, はたして橋元の調査以降もこのような状況が続いているのかどうか, 2001年と2003年に収集された全国対象のパネルデータを用いて検証する。また, 2時点での変化も考慮し, 使用機器の開始や中止, あるいは地位移動がデジタルデバイドへの懸念に影響を与えたかどうかをも検証する。さらに, デジタルデバイドへの懸念を2時点間で増加させた層がいるとしたら, それはどのような人びとなのかも分析する。結論として, 集団間でデジタルデバイドへの懸念があまり存在しないということが, 分析結果からいえる。2時点の変化を考慮しても同様の結果だった。それが意味することは何なのか, 日本社会の情報化の特質をふくめ詳しく検討する。
著者
木村 忠正
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.76-76, 2009

本報告では、まず、地域SNSをコミュニティネットワークの文脈に定位し、社会関係資本と情報ネットワークとの関係という観点から分析を行う。さらに、今後の研究発展に向け、数理社会学的社会的ネットワーク分析(SNA:social network analysis)ではなく、John Barnes、Clyde Mitchellら、文化的意味、質的分析を含みこんだマンチェスター派の研究を改めて検討する。
著者
藤原 正弘 木村 忠正
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:13440896)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.43-55, 2009-03

インターネットなど情報ネットワークの社会的普及と日常生活への浸透に伴い,ネットワーク利用と一般的信頼感との関係について,広く関心が寄せられ,これまで研究が行われてきた。しかし,これまでの研究では,一般的信頼感とネットワーク利用行動との明確な関係性が見出されているとは言い難い。そこで本研究では,山岸(1998)の一般的信頼に関する議論が,信頼と安心を対立的にとらえているのに対して,Hofstede(1980,1991)の不確実性回避傾向指数(UAI,Uncertainty Avoidance Index)を安心の尺度と考え,信頼とUAIを相互に独立した次元と仮定し,組み合わせによる類型的枠組とネットワーク行動との関係の研究を試みた。具体的には,低い一般的信頼,高いUAIがインターネット利用を限定的にしているとの仮説とともに,低信頼+高UAI=「没交渉志向」=匿名掲示板利用,のように,信頼とUAIを組み合わせた類型の心理的特性とそれに関連するインターネットサービス利用との関係を仮定し,それぞれ検証を行った。その結果,多くの仮説は支持され,一般的信頼とUAIとを組み合わせることの有効性,とりわけ,UAIがインターネット利用行動の分析に有効であることが示された。
著者
橋元 良明 木村 忠正 森 康俊 北村 智 是永 論 片桐 恵子
出版者
東京女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

2018年度は、まず、先行研究の検討、既存調査の再分析、理論的検討を行なった後、(1)60歳以上の高齢者を対象とするグループ・インタビュー調査と(2)40歳から79歳までを対象に、インターネット利用を中心とする情報行動に関する質問票調査を実施した。(1)は60代70代男女各2グループ、1グループ各6名、計4グループ24名を対象に、テレビ接触状況、インターネット利用の実態、ネットを通した動画視聴、ネット利用の功罪等についてインタビューした。インタビュー対象とした24名はほとんどがネットを積極的に利用しており、退職後も趣味や地域活動にいそしむ人が多かった。ただし、対象者は、いずれも東京都文京区在住者で必ずしも一般的な60代以上を代表する人たちではないことは考慮しなければならない。(2)は、中央調査社の保有するマスターサンプルから、全国の40歳~79歳の男女1600人をランダムに抽出し、各種情報行動について質問したものである(有効回収票827)。70代について結果を見れば、70代のネット利用者は71.2%とかなり高率であるが、スマートフォン利用者は28.3%であった。また、ネット利用といっても大半がモバイル機器を通したメールだけの利用者であり、サイト・アプリの利用者(PC通しも含む)は43.4%にとどまり、いまだに年代的なデジタルでバイトが完全に解消したとはいえない状況であることが判明した。メッセージングアプリのLINEの利用者も、70代は21.8%にとどまるなど高齢者への普及は十分でなく、ネットショッピングの利用者も70代は20.3%にとどまる。そうした背景にコスト的な問題や周囲にサポートする人がいないという状況や、ネットにまつわるトラブルに大きな不安をいだいているという現状があった。
著者
北村 智 橋元 良明 是永 論 辻 大介 木村 忠正 森 康俊 小笠原 盛浩
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、現代における情報行動の変容について、加齢効果・時代効果・コーホート効果を弁別して明らかにすることを目的とした。2015年に「日本人の情報行動」調査を実施し、2005年調査および2010年調査のデータと合わせて分析を行なった。分析の結果、テレビ視聴時間に関しては、有意な年齢効果と世代効果は確認されたが、時代効果は認められなかった。インターネット利用時間においては、PCインターネット利用時間に関しては2005年から2010年にかけて増加する時代効果のみが確認された一方、モバイル・インターネット利用時間に関して世代効果と一貫して増加を示す時代効果が認められた。