著者
益本 仁雄 宇都宮 由佳
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌 (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.97-111, 1999-10
被引用文献数
3

筆者らは, 1992年から北タイで情報化と商品経済化が住民に与える影響や共同体の変容について調査研究に取組んでいる。調査対象の村では, 未電化時では外部情報をほとんど得ることができず, そのため稼得機会に恵まれなかった。電化後, テレビを通じて生活情報や商品情報が大量流入し, 口コミによる情報交換活動も活発化した。小論では, 急激な情報化が村人の意識・行動や生活価値観にどのように影響を与えたかについて情報文化の視点から分析する。村人は, 商品構買意欲を増進させた一方で農業情報に強い関心を示すようになり, 情報源や販売方法を多様化させ, 情報戦略をとるようになった。また, 電灯下での労働, 出稼ぎの増加, 内職など, 労働態様を変え所得上昇を図っている。生活価値観では, 他村への羨望の減少, 情報キーパーソン信頼度の低下, 子供が贅沢になることへの危惧の増加など大きな変化が見られる一方, 国王への尊敬や村の習慣・決まりに関して変化は見られない。急激な情報化は, 意識・行動と生活価値観が同時・並行的に変化し, 相互に影響しあっていることが認められた。

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こんな論文どうですか? 北タイの一農村における意識・行動, 生活価値観の変容に関する研究 : 電化を契機とした情報化の進展を中心に(益本 仁雄ほか),1999 http://t.co/cWRQmGW3
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