著者
やまだ ようこ
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.146-161, 2000
被引用文献数
7

この論文では, 最近のライフストーリー研究を展望し, 特に生涯発達心理学の観点から, 理論的・方法的問題を論じる。第1に, 「物語」は「2つ以上の出来事をむすびつけて筋立てる行為」と定義される。人生の物語とは, 意味づける行為であり, 人生経験の組織化である。第2に, 人生の物語は, 静態的構造ではなく, 物語の語り手と聴き手によって共同生成されるダイナミックなプロセスとしてとらえられる。特に, 物語の「語り直し」は, 人生に新しい意味を生成する行為として重要だと考えられる。私たちは, 過去の出来事を変えることはできないが, 物語を語り直すことによって, 過去の出来事を再構成することが可能になるからである。第3に, 「物語としての自己」の概念は, アイデンティティやジェネラティヴィティ(生成世代性)の概念と関連づけられる。人生の物語を語ることは, 現世代から, 次の世代や未来世代へのコミュニケーションの重要な道具となる。

言及状況

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@earth_chida アルヴァックスは「場所」に重点を置いてますが、「対話」での想起に関してはそれこそライフストーリーとライフヒストリーの議論が詳しいと思います(たとえば:https://t.co/frDwXxX0e9)。 若干ズレますが認知症患者の人生を介護者が捉え直す話も医療社会学でありました(https://t.co/tnc4UzIvf5)
CiNii 論文 -  人生を物語ることの意味 : なぜライフストーリー研究か?(展望) http://t.co/Ec56NN7l #CiNii CiNiiに実装されたソーシャルメディア機能を試すテスト。

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