著者
角田 聡 増原 光彦
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.76-82, 1986-04-01
被引用文献数
1

安静時の経口糖負荷試験において, 正常とみなされた日常定期的な運動を実施していない健康な男子学生4名を被検者とした.各被検者に運動負荷時間が異なる3種類の中等度運動を実施し, 運動後に糖を経口負荷した際の糖代謝について検討した.結果は以下に示すごとくである.<BR>1) 糖負荷後の血糖は運動負荷時間が60分間の場合において糖負荷後60, 90, 120, 180分にOGTTよりも高値を示し, 安静値水準への回復に遅延傾向が認められた.<BR>2) 糖負荷後の血清インスリンは20分間, 40分間運動がOGTTに比べ低値を示し, 60分間運動は糖負荷後30分値を除きOGTTと同様な値であった.また, 血清C-ペプチドも各運動とも血清インスリンを反映する変動であった.<BR>3) 安静値に対する血清FFAの増加量は, 各運動とも運動開始に伴い増加し, 運動後20分の糖負荷前においても増加傾向を示した.<BR>4) 血漿cAMPは運動終了直後で60分間運動が最も高値を示し, その後各運動とも糖負荷前まで低下傾向を認めたが, 安静値水準には至らなかった.糖負荷前値においても60分間運動が若干高値を示した.<BR>これらのことから, 中等度運動後に糖を経口負荷した時の糖代謝は, 運動負荷時間が20分間, 40分間の場合にはOGTTとほとんど差が認められなかったが, 60分間の場合には血糖の安静値への回復に遅延傾向が認められた.このような運動後に糖を負荷した場合, 運動による血清FFAの増加が糖の取り込みを抑制することが示唆される.本研究は文部省科学研究費, 奨励研究 (A) No.58780128により行われた.

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CiNii 論文 -  運動後の糖代謝に及ぼす運動負荷時間の影響について https://t.co/4VGCn9aSwc

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