著者
尾松 芳男 越川 裕正 飯塚 恒雄 小野 悌之助 美崎 教正
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.69-74, 1960-02-01

模型型実験により視覚及び聴覚反応時間を測定し,ランニング記録の計時誤差を検討した。1. スタートの合図にピストルの閃光を用いた場合には平均150msec程度の遅れを生ずる。2. ピストルの煙をスタートの合図とすると140乃至260msecと非常に広い範囲で遅延が認められる。(これは雷管紙の不均一なことと気象条件の差によって煙の発生が一定でないことに起因すると考えられる。)3. スタートと計時員との距離が接近すると,計時員がピストルの爆発音によって反応する可能性がある。4. ゴールに於ける誤差はスタートのそれに比して遙かに小さく,且つゴールイン以前に時計を停止する事がしばしばあり,走者と計時員との距離が多少変わっても反応時間には認むべき差がない。5. 計時誤差のうち,大きな部分を占めるのはスタートの誤差であり,これとゴールに於ける誤差との組み合わせ如何によって総合誤差は減殺され,或は増大するが,計時誤差が全く0となることは偶然以外には存在しないと云える。6. 現在公表されているランニング記録は真の記録より0.1乃至0.2秒,時には0.3秒短い値と考えられる。7. 公認審判員と他の被検者との間には何等差異を認めなかった。

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