著者
谷沢 修
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科学会雑誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, 1965-02

絨毛性ゴナドトロピンの異種動物に対する抗原性を利用したImmunoassayは1960年Wideらによって特異性の高い方法として臨床応用の可能性が示された. 著者はImmunoassayを実用化する為, 抗原の純度に検討を加えた後passive haemagglutination inhibition technique(H.I.T.)による定性的妊娠反応の特異性と簡易迅速な定量法の臨床応用について検討し, 次の成績を得た. (1) complete Freund's adjuvantを用いた免疫方法により5000I.U.以下の抗原量で充分抗体価を上昇せしめる事が出来た. (2) gel内沈降反応により市販H.C.G.製剤及び抽出H.C.G.(Gurin法)には血清albuminを主とする爽雑蛋白質を数種類認めた. (3) H.I.T.ではH.C.G. 0.03 I.U/cc(mμg level)の微量を検出できたが, この反応系の鋭敏度を調整して尿中H.C.G. 1200~2400 I.U./1で陽性となる様にすると妊娠反応の的中率は99.6%(854例)となった. (4) 以上の成績は抗血清をそのまゝ用いた結果であるが, 定性妊娠反応に於て血球感作に市販H.C.G.製剤程度の純度のものを用いても特異的抗H.C.G.抗体の高い抗血清であれば吸収操作は不必要であると思われる. (5) 定量的測定を妊娠各時期の正常妊婦227例と流早産・切迫流産等の25例について行ったところ従来のBioassayのよく一致した成績を示した. (6) 子宮外妊娠の補助診断に用い26例中24例に陽性を見た. 特に定量的測定により役立つ事が多かった. (7) 絨毛性腫瘍患者尿中H.C.G.も同様にして測定しうる事がわかった. (8) Friedman反応による定量値との間には, 10 I.U./1(H.I.T.)≒1 Rab. U./1(Friedman)の関係が成立した.

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

CiNii 論文 -  免疫学的妊娠反応に関する研究 https://t.co/W2eDk5uERK

収集済み URL リスト