著者
中田 安成
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.22, no.10, pp.649-657,660, 1973

ラット肋間筋より, myofibrilの混入をほとんどなくし, 筋膜を純粋に分離する方法を確立した.分離した筋膜は, 位相差顕微鏡下では中空の円筒形で透明な一重の膜として, 電子顕微鏡では3層構造を有した膜として観察された.筋膜の化学組成は, lipid34.4%, 蛋白質61%, 総炭水化物はglucoseとして2.8%, methypentoseはfucoseとして0.4%, hexosamineはglucoseamineとして0.8%であった.アミノ酸組成はglycine, glutamic acid, alanine, aspartic acidなどを高率に含有していた.分離筋膜は, そのままでは免疫生物学的に応用するには制約が多すぎるので, 各種溶解液にてとかすことを試み, 筋膜蛋白量の溶出比で比較検討した.その結果, sodium dodecyl sulfateが56.4%ともっとも高率を示し, 以下pH9.5蒸留水(35.4%), 8M urea(22.8%), sodium desoxychoate(18.3%), collagenase(7.7%)の順であった.すなわち蛋白質の溶出を目的とした場合には, sodium dodecyl sufateが効果的な溶解液であることが判明した.

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