- 著者
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中田 安成
多田 慎也
有森 茂
- 出版者
- 一般社団法人 日本アレルギー学会
- 雑誌
- アレルギー (ISSN:00214884)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, no.11, pp.742-752,777-77, 1974-11-30 (Released:2017-02-10)
- 被引用文献数
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自己免疫性疾患, とくに重症筋無力症を中心として, 患者末梢血および摘出胸腺内リンパ球 lymphocyte subpopulation について検討した.T-cell marker として sheep red blood cell rosette formation を, B-cell marker としては surface immunoglobulin を使用した.重症筋無力症非胸腺腫例の T-cell は60.4±12.3%, B-cell は24.5±7.2%, 胸腺腫合併例では T-cell 53.5±14.0%, B-cell 23.9±8.1%で, 健康人のT-cell 55.4±10.4%, B-cell 29.1±7.6%と比較すると, T-cell は非胸腺腫例で高率, 胸腺腫合併症では差はなく, B-cell はいずれも低率の傾向がみられた.胸腺摘出後, 経時的に比較すると T-cell は手術直後にも変化なく, 以後の経過においても健康人の標準偏差内での変動をつづけた.B-cell は術直後に上昇し, 以後は正常範囲内の変動をつづけた.摘出胸腺内の T-cell は68.2±13.5%, B-cell は7.9±12.7%であり, 健康人末梢血あるいは同一症例末梢血リンパ球に比して T-cell は高率, B-cell は低率であった.このうち胸腺腫および germinal center をともなった症例では, T-cell は低率, B-cell は高率をしめした.末梢リンパ球の摘出胸腺内リンパ球における T-cell は比較的よい相関を認めた.その他自己免疫性疾患においては, 健康人に比して Sjogren 症候群において T-cell が高率を, B-cell が低率を, Behcet病において B-cell の低率がそれぞれ有意に認められた.各種自己免疫性疾患におけるこれら lymphocyte subpopulation の意義についても論じた.