- 著者
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岸川 禮子
- 出版者
- 一般社団法人 日本アレルギー学会
- 雑誌
- アレルギー
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.8, pp.684-695, 1990
- 被引用文献数
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7
福岡市の花粉症の実態と空中花粉を経年的に調査して地域性を見い出し, 花粉症患者の発症と空中花粉飛散との関係を検討した.市内6施設の耳鼻科医院で, 問診表により花粉飛散期間に一致してアレルギー性鼻炎をもつ症例を1983年から7年間にわたり, 調査・集計した.同時に7ヵ所で空中花粉を重力法により調査し、1月から6月まで半年間のスギ花粉, ヒノキ科花粉およびイネ科花粉について集計した.集計された花粉症患者(4193名)は男女比が4:6で30代(41.9%), 20代(19.8%), 40代(18.4%)の順に多くみられた.スギ花粉症はイネ科花粉症との重複例(23.0%)を含め92.6%, イネ科単独花粉症は7.3%である.関東地方の症例に比較して症状が軽度で, 花粉症の重症度は地域性のあることがわかった.空中花粉捕集数の経年変化は毎年著しい変動を示した.福岡市のスギ花粉症患者はスギ・ヒノキ科空中花粉捕集数の多い年は患者が多く, 少ない年は患者数が減少する傾向にある.