著者
冨田 尚吾 鈴木 一 秋山 一男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.430-438, 2002
参考文献数
22
被引用文献数
2

成人気管支喘息患者127名においてコマーシャルベースの4種のゴキブリ抗原液を用いて皮内テストを行った.またCAP-RAST法にてゴキブリ特異的IgE抗体を測定した.使用したゴキブリ抗原液に対する即時型皮内反応陽性率は10.2〜12.6%であり,CAP-RAST陽性率は12.6%であった.ゴキブリに感作された喘息患者6名にゴキブリによる抗原吸入誘発試験を施行したところ2名に即時型気道反応,1名に遅発型気道反応を認めた.末梢血白血球ヒスタミン遊離試験においても陽性例を認めた.RAST抑制試験にて2種のゴキブリ(American cockroach, German cockroach)の間には共通抗原性の存在が示唆された.またダニ抗原によってもゴキブリRASTは抑制される例がみられ,一部ダニとの共通抗原性も示唆された本邦においてもゴキブリアレルゲンの関与した喘息症例は少なからず存在し,注目すべきと思われた.

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