著者
森永 徹 松田 和久 柴田 勝 池田 英夫
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

〔目的〕今日,各種のチャンネルを有する内視鏡の洗浄に,酵素系の洗浄剤が多く用いられている.今回,高活性酵素配合,高濃縮タイプの浸漬用新型洗浄剤(バイオテクト55【○!R】)を使用する機会を得たため,その内視鏡チャンネル内の洗浄効果をチューブを代用して検討した.なお,本洗浄剤は界面活性剤(無リン)と蛋白分解酵素を主成分とし,使用濃度は0.25〜0.5%であり,濃度0.5%でpH9.5の弱アルカリ性である.また,室温で長期保存が可能という特徴も兼ね備えている.〔方法〕全長150cm,内径4mmのチューブ内をすりつぶしたレバーで汚染させた後に,注射器にて内部に温水希釈洗浄液注入→洗浄液浸漬(30分)→洗浄液注入→水道水によるすすぎを行い,先端から10,30,50,70,90,110,130cmの部位で切断し,チューブ内を綿棒で拭い取り,ATP(アデノシン三リン酸)を汚染の指標として,ルシフェラーゼによる生物学的発光量を測定した.対照として,温水で同様に実施した.ATP測定には,測定器は「ルミテスター【○!R】」,試薬は「ルシフェール【○!R】」(ともにキッコーマン(株)製)を使用した.〔結果〕それぞれ3回ずつ検討したが,その平均値は"方法"で示した部位の順に,温水のみが2,142, 2,552, 2,626, 2,911, 2,850, 4,015, 2,615であり,洗浄剤使用の場合が839, 502, 499, 474, 103, 182, 243であった(単位はRLU).〔考察〕内視鏡のチューブ内は,最も洗浄が困難なところであるが,本剤は良好な結果を示した.また,高濃縮、室温で長期保存が可能などの点と考え合わせると,有効な洗浄剤と考えられた.

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