著者
黒木 彬文
出版者
福岡国際大学・福岡女子短期大学
雑誌
福岡国際大学紀要 (ISSN:13446916)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.67-73, 2003-02-18

1880年設立の興亜会は近代日本最初にアジア主義組織であり、そこには大きく分けて五つの担い手を異にするアジア主義の思潮があった。日本の文明開化の先進性を意識した日本盟主論の強いものからそうではなくアジアの対等性に重きを措くものまで、日本とアジア(おもに朝鮮中国)との関係性についてはニュアンスの違いがあった。それは思想の重点を日本ナショナリズム(国権拡張)におくか、アジア地域主義(興亜主義)におくか、の違いに照応していた。しかし、そこに共通するのは通商貿易をとおしてのアジアの基本的には水平関係形成の志向性であった。これは日清戦争後の軍事力を背景とする垂直関係形成の志向性とはことなっていた。そのようなアジア主義を初期アジア主義と規定してみたい。

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