著者
山本 久文 宇都宮 潔 長谷 章 玉木 一弘 村川 章一郎 青柳 利雄
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.63-67, 1983

Mycoplasma pneumoniae (M. pn.)による髄膜脳炎の1例を報告した。症例は16歳, 男子学生。昭和54年12月3日より高熱と激しい頭痛が出現し, 12月5日当科に救急入院した。入院時は軽度の不穏を伴なう傾眠状態で, 項部硬直著明, Kernig徴候陽性, 病的反射はなく, 胸腹部にも異常所見はなかった。胸部X線写真異常なし。白血球数14, 900, 髄液は細胞数1864/3, リンパ球93%, 蛋白113mg/dl, 糖73mg/dlであった。入院時血清および髄液のマイコプラズマCF抗体価は, それぞれ512倍, 32倍と高値であることが判明し, 血清寒冷凝集反応も1024倍と上昇しており, M. pn.による髄膜脳炎と診断した。エリスロマイシンとプレドニゾロンの併用にて, 臨床症状の著明な改善をみた。M. pn.による髄膜脳炎の頻度は多くないが, 原因不明の髄膜脳炎を診た時は, M. pn.も原因の一つとして考慮する必要がある。

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