著者
麻生川 稔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.3207-3220, 1998-12-15

本研究は,「ニューラルネットワークを用いた知識獲得」に関するものである.目的は,知られているほぼ正しい知識を,知られているほぼ正しい例題とニューラルネットワークの学習機能を用いて洗練することである.これは,知られているほぼ正しい知識は,不完全であったり矛盾を含んでいたりするので,ニューラルネットワークの学習によって足りない部分を補い矛盾している部分を訂正するものである.このニューラルネットワークの特徴としては:(1)肯定推論と否定推論を同時に行うことができる.(2)例題が正しく解釈できるように,知識が完全化かつ完備化される.(3)真と偽以外にこれらの中間状態や,矛盾等が表現可能で,非単調性推論の機能を有する.(4)ニューラルネットワークでは入力と出力の区別がないので,知られている事実を入力すると,知られていないことについての推論が行われる.(5)知られてる事実が不十分であるときは,真偽不明と答えることもできる.これまでのエキスパートシステムでは上記した機能の一部は実現可能であるが,すべてを同時に実現したものではない.正しい知識をニューラルネットワークに展開する方法と,それを用いた推論方法について説明し,推論時のシステムの動作がつねに平衡状態に到達することをリヤプノフ関数の存在を示すことにより証明した.さらに,例題からの学習方法等について説明し,実装例を用いて実現方法の妥当性について検討する.Modus Ponens is used in forward inference and backward inference where the truth of the conclusion is inferred from the truth of the premise.On the other hand,in Modus Tollens,the falseness of the premise is inferred from the falseness of the conclusion.Although Modus Ponens is used in general connectionist production systems,Modus Tollens is rarely used.The authors have developed a novel connectionist production system,which can perform both Modus Ponens and Tollens simultaneously.One of the advantages of this system is that it has a learning mechanism.Often,the rules and examples given as external knowledge are erroneous and incomplete.Rules are refined with supervised learning,which is performed presenting both positive and negative examples to this system on which external rules and observations are mapped.The system stability is proved by using a Lyapnov function.Moreover,this system implementations of an implication,a conjunction,a disjunction and a negation are intuitively consistent with boolean logic and discussed by presenting a simple example implimentation.

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