- 著者
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吉澤 康文
名内 泰蔵
長谷川 豊
稲田 伸一
- 出版者
- 一般社団法人情報処理学会
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.2, pp.179-186, 1979-03-15
- 被引用文献数
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東海道・山陽新幹線の列車運行管理システムである COMTRAC(COMputer aided TRAffic Control)-Hは1975年5月より稼動を開始している.このシステム構成は 進路制御の機能を担う制御用計算機と運転整理の機能を分担する汎用計算機が階層的に結合されたものである.本報告では 列車ダイヤに乱れが生じたときに 人間と機械の会話により迅速にダイヤを収拾する運転整理システムの性能評価をシステム開発の前段階で行い 設計に反映させた例について述べる.運転整理システムの特徴は 列車に乱れが生じた際に成される指令行為が計算機に急激な負荷をもたらす点にある.したがって システム設計にあたっては 指令員の投入したコマンドに対する応答時間とスループットを共に確保する処理方式を確立する必要がある.この理由から 運転整理システムのシミュレーション・モデルを開発し 想定した入力負荷に対する特性を分析した.この分析結果から 応答時間に占める主要因は (1)計算機間の交信 (2)異なる優先順位を持つタスク間の交信 そして(3)ファイルの競合にあることが判明した.以上から 制御用計算機と汎用計算機間の交信周期の最適化を計ること および 優先度の高いタスクの処理を分割することを提案し システム設計に反映させた.この結果 運転整理システムは充分な応答時間とスループットを満足するシステムとして現在稼動している.