- 著者
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沼尾 正行
志村 正道
- 出版者
- 一般社団法人情報処理学会
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.2, pp.247-256, 1985-03-15
分散処理システムで グラフリタクション方式により関数型言語を評価するためには システムを構成する各プロセッサにグラフを分散して配置する必要がある.グラフが各プロセッサに分散していると リタクションを行うために他のプロセッサ内の記憶装置を参照したり 書き換えたりすることが必要となる.また 複数のプロセッサで一つのグラフを書き換えるため グラフのアクセスに対して危険領域を設定しなければならない.本論文では これらの煩雑な問題を解消するため ノード単位でリダクションを行う方法を述べる.この方法では プロセスがグラフの各ノードに割り当てられており アークを通して互いに通信し合う.これらのプロセスにより リタクションがノード単位で行われるので グラフを分割して各プロセッサに割り当てることが容易である.リタクションの基本操作はノードの消去とノードのコピーであり これらの二つの操作を組み合わせることにより リダクションが行われる.ノード単位でリダクションを行うことにより グラフを各プロセッサの共用データとする必要がなくなるため 共用データにアドレスを割りふったり アクセスを行うプログラムに危険領域を設けたりする必要がなくなる.このため 大規模で拡張性の高い分散リタクションシステムを構築することが可能となる.