著者
田中 久美子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.691-696, 2005-06-15
参考文献数
18
被引用文献数
1

近年ではPDAや携帯電話などの小型携帯端末が普及し、これに伴って文書入力システムが議論されるようになった。 入力デバイスとしては、キーボードを用いるものからセンサや音声認識などを用いるものまでさまざまに提案されているが、少数キーによる入力は、キーボードの発展形として注目を集めている。 少数キー入力の問題の本質は、言語の総文字数よりも少ないキー数を用いていかに文書を入力するかという点にある。 この問題に対しては、日本は漢字の入力方法として世界で最も早くから取り組んできている。 現在では、predictive text entryとして世界的に研究されるようになり、日本で発展してきた技術上の思想が世界中の言語へ広がりつつある。 本稿ではこの世界の流れの中で、予測入力を中心に少数キー入力を捉える。 少数キー入力は、最先端の機器類を通して発展してきたが、同時に高齢者や身障者とのコミュニケーションを広く支援するユニバーサルな道具としての可能性も秘めている。 従来のコンピュータは、フルキーボードという特殊な環境を前提としており、そこではタッチタイプの技能に通じた達人だけを対象としてきた。 しかし、計算機が日常に浸透するにつれ、ユニバーサルな入力技術が求められるようになり、その1つの解決策の鍵を少数キー入力研究が握っている。以下ではまず入力システムの一般モデルを示し、次にさまざまに提案されている少数キー入力について述べる。

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