- 著者
-
古賀 俊彦
中村 昌弘
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
- 雑誌
- 気管支学 (ISSN:02872137)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.4, pp.251-255, 2000
- 参考文献数
- 6
気管支ファイバースコープ自動洗浄器系統より分離されたグルタールアルデヒド高度耐性のMycobacterium abscessusに対する消毒用アルコール(エタノール)の殺菌作用をsuspension testとcarrier testとで検討した。その結果, グルタールアルデヒドで殺菌されなかった分離株のM.abscessusも80%エタノールで1分間以内, 40%エタノールで5分間, 32%エタノールで15分間の処置で完全に不活化された。26%以下のエタノール濃度では長時間の作用でも不活化されなかった。この結果はsuspension testでもcarrier testでも同一の結果であることが確認された。この不活化の機序は恐らくエタノールによる細胞壁の破壊である可能性が電顕写真で示唆された。これらのevidenceは消毒剤としてのエタノールの強力な消毒効果を再認識すると共に日常の臨床の現場においてその有効濃度に常に留意しつつ院内感染の予防のためにエタノールの使用をより広く薦めるものである。