著者
中村 昌弘
出版者
日本ハンセン病学会
雑誌
日本ハンセン病学会雑誌 (ISSN:13423681)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.127-133, 2001 (Released:2007-11-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

1882年、Kochによって結核の原因としての結核菌が発見され、培養、動物移植も達成されたが、らい菌はその9年前(1973年)にHansenによって発見されたにも拘わらず128年を故る現在においても、そのin vitro培養は未だに不可能である。そして、今や、らい菌培養の研究は不毛の研究として、細菌学の領域より忘れ去られようとしている。一方、らい菌のマウス足蹠内増殖、アルマジロヘの移植は達成されているので、細菌としてのらい菌の増殖能力の欠如についての疑問は全く存在しないし、らい菌が抗酸菌のカテゴリーに属するものであることは疑う余地もない。それでは何故らい菌は培養できないかの理由について、本報において、次の点について考察を加えることにする。1.長期間の培養による培地の老廃化のためか2.らい菌のカタラゼー欠損のためか3.らい菌の細胞壁の脆弱性のためか以上の、らい菌が培養できない理由の中で最もその可能性の高いものは、細胞壁の脆弱性によるものではないかと思われる。従って、らい菌の細胞壁を強靭にすれば、無細胞系で増殖する可能性は得られるものと推察される。
著者
古賀 俊彦 野田 哲寛 中村 昌弘
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.386-392, 2001-05-25 (Released:2016-10-15)
参考文献数
11
被引用文献数
1

我々は使用中の特定の気管支鏡から, ある時期に頻回に抗酸菌が検出されることに気付き, 気管支鏡を介する, 或は由来する抗酸菌のfalse positiveに関心をもち, 10年以上もその原因の探索に努力してきた。今回の報告では前半にその実体の詳細を述べ, 次にその抗酸菌の性状, 最後にその除去対策について検討したので記述する。まず, 多くの材料と年月から, 検出される抗酸菌が気管支鏡そのものに由来することがわかり, 更に自動洗浄器内の消毒液より抗酸菌が分離された予想外の事実に遭遇して, その分離抗酸菌が消毒液, 即ち, 3%グルタルアルデヒドに耐性である事を実験的に証明した。そして, 分離抗酸菌は患者からではなく, 外界よりの汚染と考えたほうが妥当であろうと推察した。このグルタルアルデヒド高度耐性抗酸菌は両性界面活性剤にはやや感受性はあるものの, これを用いても完全な殺菌効果が得られない抗酸菌菌株も分離された。換言すれば, 自動洗浄器で使用する消毒液グルタルアルデヒドは殆ど無意味であることが証明された。そこで, グルタルアルデヒドに代わる強力な消毒液を模索中, 消毒用アルコールが強力な殺菌力をもつことを見出した。即ちグルタルアルデヒド高度耐性抗酸菌の全てが, 例外なく日常使用する消毒用アルコール(原液)で瞬間的に不活化されることを実験的に確認した。この殺菌効果は等量に希釈した40%アルコールを用いた場合は5分間の処置で, さらに1/3に薄めた30%アルコールでさえ15分間の処置で殺菌効果が認められた。今後はグルタルアルデヒドの代わりにアルコールを使用すべきであり, アルコールをルーチン検査に使用する方法について若干の考察を試みた。
著者
中村 昌弘
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.607-628, 1978-07-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
97
著者
古賀 俊彦 中村 昌弘
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.251-255, 2000
参考文献数
6

気管支ファイバースコープ自動洗浄器系統より分離されたグルタールアルデヒド高度耐性のMycobacterium abscessusに対する消毒用アルコール(エタノール)の殺菌作用をsuspension testとcarrier testとで検討した。その結果, グルタールアルデヒドで殺菌されなかった分離株のM.abscessusも80%エタノールで1分間以内, 40%エタノールで5分間, 32%エタノールで15分間の処置で完全に不活化された。26%以下のエタノール濃度では長時間の作用でも不活化されなかった。この結果はsuspension testでもcarrier testでも同一の結果であることが確認された。この不活化の機序は恐らくエタノールによる細胞壁の破壊である可能性が電顕写真で示唆された。これらのevidenceは消毒剤としてのエタノールの強力な消毒効果を再認識すると共に日常の臨床の現場においてその有効濃度に常に留意しつつ院内感染の予防のためにエタノールの使用をより広く薦めるものである。
著者
古賀 俊彦 野田 哲寛 中村 昌弘
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.386-392, 2001
参考文献数
11
被引用文献数
1

我々は使用中の特定の気管支鏡から, ある時期に頻回に抗酸菌が検出されることに気付き, 気管支鏡を介する, 或は由来する抗酸菌のfalse positiveに関心をもち, 10年以上もその原因の探索に努力してきた。今回の報告では前半にその実体の詳細を述べ, 次にその抗酸菌の性状, 最後にその除去対策について検討したので記述する。まず, 多くの材料と年月から, 検出される抗酸菌が気管支鏡そのものに由来することがわかり, 更に自動洗浄器内の消毒液より抗酸菌が分離された予想外の事実に遭遇して, その分離抗酸菌が消毒液, 即ち, 3%グルタルアルデヒドに耐性である事を実験的に証明した。そして, 分離抗酸菌は患者からではなく, 外界よりの汚染と考えたほうが妥当であろうと推察した。このグルタルアルデヒド高度耐性抗酸菌は両性界面活性剤にはやや感受性はあるものの, これを用いても完全な殺菌効果が得られない抗酸菌菌株も分離された。換言すれば, 自動洗浄器で使用する消毒液グルタルアルデヒドは殆ど無意味であることが証明された。そこで, グルタルアルデヒドに代わる強力な消毒液を模索中, 消毒用アルコールが強力な殺菌力をもつことを見出した。即ちグルタルアルデヒド高度耐性抗酸菌の全てが, 例外なく日常使用する消毒用アルコール(原液)で瞬間的に不活化されることを実験的に確認した。この殺菌効果は等量に希釈した40%アルコールを用いた場合は5分間の処置で, さらに1/3に薄めた30%アルコールでさえ15分間の処置で殺菌効果が認められた。今後はグルタルアルデヒドの代わりにアルコールを使用すべきであり, アルコールをルーチン検査に使用する方法について若干の考察を試みた。