著者
大澤 広嗣
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.493-516, 2004

本論は、宗教研究史の視点から、トルコ学者の大久保幸次が所長を務めた回教圏研究所について、昭和前期のイスラーム研究史における意義と位置付けを試みたい。日本のイスラーム研究は、一九三七年の日中戦争勃発を機に組織化され、「大東亜共栄圏」建設を目的として、複数の機関で調査研究された。一九三八年に大久保は、小林元や松田壽男と共に回教圏攷究所を創設した。一九四〇年回教圏研究所と改称後、一九四五年の敗戦で解散した。しかし戦後以降、昭和前期のイスラーム研究は、国策や時局と結び付いて研究された側面だけが語られ、その全般的な研究史が軽視されてきた傾向があった。だが回教圏研究所の活動を検証すると、大久保は大正期よりトルコやイスラームを研究し、研究所からは戦後も活躍する中東研究者を輩出したなど、研究史上において重要な意味を持つ研究機関であることがわかるのである。

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編集者: 西方
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