- 著者
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小林 達明
吉川 賢
小橋 澄治
増田 拓朗
- 出版者
- 一般社団法人日本森林学会
- 雑誌
- 日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
- 巻号頁・発行日
- vol.75, no.3, pp.165-175, 1993-05-01
- 被引用文献数
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7
湿性草地・砂丘の裾・砂丘上の土壌水分条件の異なる立地に植栽されたハンリュウ個体に, SPACモデルを適用し, 水分動態を解析した。シミュレーションの結果は実測値とよく適合した。夜明け前の水ポテンシャルには, 立地による違いはなかった。個体全体の通水抵抗は, 土壌水分条件の違いを反映し, 砂丘上で著しく大きく, 草地で小さかった。しかし砂丘上では, 根系分布が深く, 葉量/細根量率が小さく, 抵抗をより小さく補償していた。砂丘上では葉面コンダクタンスが小さく, 蒸散フラックス密度の大きさは草地上, 砂丘の裾, 砂丘上の順であった。日中の水ポテンシャルは砂丘上でやや低かったが, 砂丘上の細胞の浸透ポテンシャルは草地上より低いため, 圧ポテンシャルは同様と推測された。このように, ハンリュウは個体・器官・組織・細胞のそれぞれのレベルで反応して, 圧ポテンシャルを安定的に保つよう, 水分動態を制御していると考えられた。