著者
杉本 寿
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.140-142, 1954-05-25

この研究はROKUROSHI SYSTEMおよびROKUROSHI SETTLEMENTSを基礎とする, わが国山村の経済構造の研究である。ここにおいてはその結論と, 調査方法論を示すために近畿地方のTableを掲げることにした。ROKUROSHI SYSTEMを通じて, 全一てきに標記課題の研究調査を試みることについて, 学問てきには若干の疑問が観られ, 且つ論争が見られるであろう。しかしこの特異な山村民族の集団が, 全日本の地理てき領域に散在し, 優良な山村聚落を構成して居ることは, 日本山村の地域てき性格構造を正確に象徴する, 東北型とか九州型とも云うべき, 地方林業てき区域を最も端てきに指摘し得る, 都合の良いDataを現わして居るのである。著者は30年らい, この研究を通じて, わが国の山村経済構造の究明が, これ以外のDataによつては困難であることを科学てきに経験した。すなわちそれと云うのは, 学問てきに純粋な山村とは, 果して何れの村落をピツクアツプす可きであるか。同一種族ないしは尠くとも学問てきに比較検討し得べき, 同一基盤にたつ研究資料には, この資料以外には存在しないからである。しかしこれには以下の如き資材Dataの若干の欠陥が存在している。それは経済てきに恵まれ過ぎた山村の調査聚落数が欠けている事である。しかしそれは一面, 日本全国の平均値と云う意味においては, 若干の役割を果しても居るものである。また更に地方性, なかんづく北海道においては, 開拓事業を通じて資料が霧散〔すべての農業資料における共通性であるが〕し, 東北・関東・九州地方には資料の濃淡があり, そのfrequencyが相当大である事である。しかしこれらの事は, これらのFactが, この研究の為に存在するもので無い以上, やむを得ない事であらねばならない。Tableとしては, 日本全国のうち最も小さい単位領域である, 近畿地方だけを挙げる事にした。また印刷の制約により, 更に簡約にしたものが, このTableである。このTableにては簡易に過ぎ理解困難, または更に原表を必要とする方は, 中国地方のB原表が福井大学紀要に発表されるので, 著者あて申込まれたい。因みにA原表は, 江戸時代前後における, 山村の歴史地理てき統計実態表である。全国のB原表のみ近く某官庁より出版せられる予定である。

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