- 著者
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佐藤 邦彦
太田 昇
庄司 次男
- 出版者
- 一般社団法人日本森林学会
- 雑誌
- 日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.12, pp.533-537, 1955-12-25
MH-30の葉面撒布はスギ苗の秋伸び抑制にきわめて有効であり, 0.12%の濃度では根切りによると同じ程度の効果があり, とくに根切りとの併用はきわめて効果が大きかつた。MH-30によつて成長抑制を行つた苗は初霜の被害がきわめて少なく, 根切り区よりもまさつた。塩素酸カリ溶液による耐寒性の検定結果は, 圃場における結果と一致しなかつた。Botrytis cinereaとSclerotinia Kitajimanaの接種試験結果は, 霜害の発生とほぼ同じ傾向を示し, 処理苗はいちじるしく罹病が少なかつた。処理苗の圃場における越冬中の灰色黴病の発生についてもMH-30の処理はきわめて防除効果があり, とくに根切りとの併用区がいちじるしく, また根切りも効果が大きかつた。MH-30はB. cinerea, S. KitajimanaおよびRhizoctonia solaniの菌糸の発育とB. cinereaの胞子の発芽を阻害する。MH-30の処理苗は翌春成長開始期になると, 一且苗の先端が枯れて新に不定芽を生じて成長を開始する。しかし枯損率には有意差が認められない。