- 著者
-
野村 一高
- 出版者
- 一般社団法人日本森林学会
- 雑誌
- 日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.10, pp.379-382, 1976-10-25
17年生カラマツの当年生枝と葉におけるフェノール性成分の質的, 量的変化を, TLCと分光光度計を用いて1975年6月1日から11月1日にわたって調べた。葉においては発達過程を通して質的変化はほとんど見られなかったが, ケンフェロールが落葉直前に現われた。当年生枝においてはケンフェロール-3-O-グルコシドが夏期に消失し, ケンフェロールが秋期に現われたが, 他の成分はすべての時期に同じように観察された。量的変化としては葉中のケンフェロール-3-O-グルコシドは春から秋にかけて増減は示さず, 落葉直前にわずかに増加し, 当年生枝中のカテキンは春から秋にかけて増加する現象が認められた。以上の結果からこれらの化合物の生理作用, 代謝, 転流について論じた。