- 著者
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服部 重昭
- 出版者
- 一般社団法人日本森林学会
- 雑誌
- 日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.1, pp.9-16, 1983-01-25
- 被引用文献数
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7
茨城県笠間営林署管内の閉鎖したヒノキ人工林で, 1980年1年間にわたり地面蒸発量の測定を行い, その動態を林地の水・熱環境から考察した。蒸発面を形成するA_0層の乾物重量は9.3ton/haで, その最大保持水量は2.1mmであった。A_0層は降雨後2日でほとんど乾燥し, 土壌層からの蒸発を早い時点から抑えることがわかった。林内純放射量は林外純放射量の約15%に相当し, 年総量では160.7mmに達した。一方, 林地面における熱の出入りは, 1〜3月と9〜12月が放熱期, 4〜8月が貯熱期となる周期変化を示し, 秋〜冬期には地中貯熱量が蒸発現象の熱源になりうることがわかった。年地面蒸発量は137.2mmで, これは年降雨量の8.9%, 年有効放射量の84%に相当した。また, その季節変化をみると, 1〜9月には地面蒸発量/有効放射量が1.0以下であるが, 10〜12月ではそれが1.0を上回り, 有効放射量より大きな地面蒸発量が観測された。これには, 地面蒸発計内外の水・熱環境の違いが影響していると考えられる。そして, 測定された地面蒸発量は実地面蒸発量より, いくぶん過大であると考察された。