- 著者
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佐野 直美
槙 健志
森 辰則
中川 裕志
- 雑誌
- 全国大会講演論文集
- 巻号頁・発行日
- vol.44, pp.213-214, 1992-02-24
比喩表現は本質的に文脈依存が強い現象であるので、談話において比喩表現を的確に理解するには、その表現だけから解釈を引き出すのでは理解が不十分だったり、かえって理解を因難にしてしまう場合がある。このため、テキストを全体として捉え、文脈を考慮に入れた上で比喩解釈を行う必要がある。談話に一貫性を持たせる、すなわち結束性を充足させるように比喩を理解することは談話の正しい解釈を得るために必要であるだけでなく、比喩を正確に、また容易に理解する上でも不可欠である。本稿では、結束性を充足する解釈を得る手段の一つとしての比喩を考えるが、その重要な手がかりを与えるものとして、言語的制約の解析を次に9月11日の読売新聞のコラムからの抜粋を用いて行う。「ブロンディ」から「沈黙の艦隊」に至る40数年の問に、日本人の対米観が大きく揺れ動いたことは間違いない。なぜ、こうした振幅が起こるのだろうか。アメリカ史の猿谷要・東京女子大教授は「60年安保など、"夫婦げんか"はあったけれど、終戦から73年のオイルショックのころまでは、日米の蜜月(みつげつ)時代だった」と見る。これらの制転を充足する比喩理解についてはにおいて議論する。