- 著者
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鈴木 一臣
中井 宏之
- 出版者
- 一般社団法人日本歯科理工学会
- 雑誌
- 歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, no.1, pp.34-44, 1993-01-25
- 被引用文献数
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19
歯質と修復用レジンの接着性の改良を目的に, 象牙質の表面処理効果と作用機序について検討した.コラーゲンおよび酸処理象牙質を2-Hydroxyethyl methacrylate(HEMA)水溶液によって表面処理を行い, FT-IR分析, SEM観察および接着試験の結果から次のような結果を得た.即ち, コラーゲン線維へHEMAが吸着するためには水が必要である.コラーゲンの処理に用いた処理液のHEMA濃度とHEMA吸着量の関係においてHEMAが6〜60%の範囲でコラーゲンにHEMAがもっとも多く吸着した.HEMAの吸着したコラーゲンは, 形態変化(SEM写真)から推定して硬直化していた.接着強さは, リン酸-30%HEMA水溶液処理12.07MPa, クエン酸-30%HEMA処理10.09MPaおよびEDTA-30%HEMA処理7.04MPaであった.