著者
斉藤 仁
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
日本歯科理工学会誌 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.241-265, 1991
被引用文献数
5

超微小荷重を用いたビッカース硬さ試験では, 試験荷重の微小化に伴い, 荷重保持時間依存性, 負荷速度依存性, 荷重依存性, 圧痕の計測誤差などに従来よりはるかに厳密な検討が要求されてくる.本研究はこれらの基礎的問題を検討した上で, ヒト歯質における超微小硬さ, 特に従来, 測定が困難であったセメント質を中心に, 歯質の硬さを組織別, 部位別, 方向別に系統的に測定し, 以下の結果を得た.1.超微小荷重を用いた象牙質のビッカース硬さは荷重保持時間依存性, 荷重依存性, 圧入速度依存性を示した.2.3g以下の微小荷重では計測機器による計測値の差が大きくなり, 計測機器の選択は慎重に行われるべき事が示唆された.3.3gの微小荷重を用いた今回の硬さ試験方法により, 従来困難であったセメント質の硬さ分布の測定が困難となった.また象牙質の硬さ分布は従来の報告とほぼ同様であった.4.0.2gの超微小荷重を用いることにより, 管周象牙質と管間象牙質の硬さを測定することができた.

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