著者
佃 栄吉
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.40, pp.p235-250, 1992-12
被引用文献数
5

西南日本弧を大地形および要素的活構造の特徴をもとに, 南より 1) 陸側海溝斜面帯, 2) 前弧海盆帯, 3) 四国帯(前弧隆起帯), 4) 瀬戸内(剪断)帯, 5) 中国帯, 6) 山陰帯, の島弧にほぼ平行に配列する6つの構造帯に分割した。四国帯には剣山背斜, 紀伊向斜など, 帯に平行な方向の圧縮の結果と考えられる南北軸の構造が卓越する。MTLの北側の幅80~100 kmの瀬戸内帯は顕著な右ずれ剪断運動を示す構造が発達し, 中部九州の雁行地溝群分布域まで連続する。西南日本弧の活構造を形成する基本的メカニズムは, フィリピン海プレートの斜め沈み込みを原因とする前弧海盆帯および四国帯からなる前弧スリバーの西進運動である。前弧と背弧の境界であるMTLの右ずれ運動および瀬戸内帯の右ずれ剪断運動もそれで説明できる。南九州南方ではトラフ軸・島弧の屈曲にともない, プレート間収束方向がプレート境界に対してほぼ直交するために, 前弧スリバーを西進させる力がなくなる。その結果, 前弧の"追突現象"が起き, 四国帯の南北軸の圧縮構造が形成されたと考えられる。

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