- 著者
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兼松 稔
- 出版者
- 社団法人日本泌尿器科学会
- 雑誌
- 日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
- 巻号頁・発行日
- vol.74, no.7, pp.1140-1160, 1983-07-20
- 被引用文献数
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尿路における難治性感染症の問題のひとつに混合感染症の存在があり, また最近とくに臨床上使用頻度が高いβ-lactam系薬剤の不活化の問題として, β-lactamaseの存在がある.著者は尿路混合感染症におけるβ-lactamase産生菌の重要性に着目し, まず混合感染の臨床的特徴を把握するために, 全国的規模で行われた well controlled studyの複雑性尿路感染症2218例について種々の臨床統計学的検討を加え, 次に2種の細菌の組合せによる試験管内混合培養実験を施行し, 以下の結論を得た.1) 総合臨床効果は単独感染例に比べて混合感染例で有意に低く, その理由は細菌尿効果が低いためであった.この傾向は penicillin系薬剤やβ-lactamaseに比較的不安定な cephem系薬剤投与例に顕著であった.2) 投与薬剤別に細菌消失率を検討したところ, penicillin投与例では感受性菌の消失率が単独感染例に比べて混合感染例に有意に低かった.