著者
斉藤 博
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.432-441, 2005-03-20
被引用文献数
2

(目的)ヒポクラテス(紀元前460年頃)は古代ギリシア, コスの有名な医師で, 彼の業績は, 後世『ヒポクラテス全集』に記載されている.私は『ヒポクラテス全集』での排尿障害を検討した.(方法)『ヒポクラテス全集』での排尿障害をラーブ, 大槻, 今版で採集し, コス学派とクニドス学派とで排尿障害を比較した.(結果)排尿障害が67カ所(文, または, 節) : 排尿困難50, 尿閉15, 尿失尿2, または, 3(排尿困難との合併が1)記載されていた.術語としてストラングリエ(滴状尿)は20カ所中コス学派12(60%), クニドス学派5(25%), ドゥスリエ(排尿困難)は30カ所中コス学派13(43%), クニドス学派17(53%)であったが, 有意ではなかった(X^2検定で, p>0.05).激しい疼痛を伴う排尿困難, 尿閉はコス学派の記載で認められた.ストラングリエは慢性化するが, 合併症がなければ死ぬことはない.2種類の尿失禁があり, 多量の尿失禁と, 滴状尿失禁で, 前者は神経因性膀胱, 後者は溢流性尿失禁と考えられる.尿道カテーテル法, 利尿剤が, すでに, 『ヒポクラテス全集』に記載されていた.瀉血法, 鎮痛剤が排尿困難の治療に用いられていた.(結論)排尿障害は4種類認められる.すなわち, 排尿困難, または, ディスリア, 滴状排尿困難症, または, ストラングリ, 尿閉と尿失禁である.重症の排尿障害はコス学派の記載に多く認められる.

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こんな論文どうですか? 『ヒポクラテス全集』における排尿障害の記述について(斉藤 博),2005 http://t.co/intyYYqpcz
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