著者
安藤 由典 田中 祥司
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.556-563, 1992-08-01
被引用文献数
6

バロック音楽に望ましいリコーダ音の倍音構造は、(1)奇数次倍音が偶数次倍音に比べて優勢であり、(2)高次倍音が比較的豊富なこと、である。この特徴を得ると共に、最低音域を十分な音量で鳴らすのに必要な吹鳴可能最大流速を確保する構造上の工夫を、ボイシング寸法可変の頭部を製作して、実験的に調べた。その結果は(1)はボイシングによって、(2)はエッジを鋭くすることで実現していることが分かった。望ましい寸法は、エッジ先端の曲率半径が0.2mm程度であり、ボイシングは大きさが(流線方向×これと直角方向)の値で、0.5〜1.0mm^2、形は流線方向と直角方向の比で2:1程度である。一方、管の共鳴特性は上記の特徴を得るのに寄与していないことが、これまでの尺八研究と同じ方法による計算で示された。この点、尺八が管の共鳴特性で、所要の音色性能を得ていることと対称的である。

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