著者
宮本 修 古瀬 清行 福岡 正博 楠 洋子 川合 旭英 塩田 憲三 嶋崎 昌義
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, 1973-06-25

症例は58才,女性で,昭和45年11月喀血と胸痛で発病.胸部X線写真では右下肺野は蜂窩状を呈し,S^10の部位に鏡面像を認める.断層写真ではS^9・S^10の部位に種々の大きさの嚢胞状陰影があり,明確な腫瘤陰影はなく,嚢胞の上壁に接して帯状の均等陰影がみられる.気管支造影像はB^6の尖形閉塞,B^9B^10の念珠状拡張を示すが,嚢胞との交通はなく,気管支鏡検査で大細胞癌と診断された.抗癌化学療法も効果なく,昭和46年8月13日死亡した.剖検所見は右S^8発生の肺癌で,それに接し多数の壁の薄い嚢胞が認められる.組織学的には,腺癌が主体を占め嚢胞壁は一部正常気管支上皮の部位もあるが,大部分は癌細胞で被われ,その下に平滑筋の層を認める.腫瘤に接する部位では,この筋層を破り癌の増殖による連絡が成立している.反対側にも発育異常と思われる気管支拡張症があり,この肺癌は気管支拡張性の嚢胞から発生したものと考えられる.

言及状況

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こんな論文どうですか? 16.嚢胞から発生したと考えられる肺癌の一剖検例 : 第18回支部活動 : 関西支部(宮本修ほか),1973 http://id.CiNii.jp/NHvbL

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