著者
吉田 豊
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.463-468, 1985-05-31

原発肺癌による死亡50例につき死亡前の疾病,苦痛対策を麻酔科医の立場から検討した。死亡前,何らかの処置を必要とした疼痛,苦痛は,背胸部痛,腰部痛,呼吸苦などが多く,投与された薬剤は,メフェナム酸内服,インドメサシン坐薬が多く,死亡1ヶ月以内では,麻薬やペンダゾシンの使用頻度が高い。神経ブロックの適応は,消炎鎮痛薬が無効となり,麻薬やペンダゾシンなどが余り用いられていない時期で,疼痛部位が限局している場合である。神経ブロックでは硬膜外ブロックが最も多く,次いてくも膜下ブロック,肋間神経ブロックが用いられる。特に凍結手術用プローブを用いた肋間神経ブロックは有効で多用している。病態の進展による広範囲な疾病,全身苦に対しては,麻薬やペンタゾシンの外に,ケタミンの静脈内持続点滴投与が時に有効であり,夕ーミナルケアとして試みて良い方法であろう。

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