著者
李 丹慧[著] 吉田 豊子[訳]
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.407-430, 2015-03

中国の新疆におけるソ僑〔ソ連国籍をもつ新疆の人〕及びその膨大かつ複雑な社会関係のネットワークは,ソ連が新疆で影響力を拡大し維持する広くかつ深い社会的基盤となっていた。とりわけ1940 年代の半ばには,このような特殊な集団は新疆において実際にある種の「国の中の国」という状況を作り出していた。このような状態は,中華人民共和国の成立後においても続いたのである。新疆のソ僑協会はソ僑の集団を一層凝集させ,新疆におけるソ連の社会的基 盤を強固にした。そして,1950 年代半ばからグループに分かれて帰国したソ僑は,自分たちと新疆域内の親族及びその社会関係とをつなぐルートを築いた。中ソ関係に亀裂が生じた時に,ソ連は新疆におけるソ連籍幹部を勢力の中核とし,帰国ソ僑をルートにして,中国の反修正主義闘争の方針に対応しようとした。中ソが分裂した後,帰国ソ僑と新疆の辺疆地域の人民との間の相互関係の発展にともなって,潜在していた新疆地区の民族分裂の情緒が噴出し,ソ連の中央アジア地域の各加盟共和国が,ある程度,新疆の民族分裂主義のガソリン・スタンドや大本営となり,新疆は中ソ友好の基地や戦略的大後方から,中国がソ連の修正主義に対抗する中心的な地域となり,イリはさらに反修正主義闘争の前線基地となってしまった。
著者
吉田 豊
出版者
神戸市外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究では,漢字で音写されたソグド人の人名について研究した。ソグド人はイラン系の言語を話す民族で,ソグディアナを本土とする。これはほぼ現在のウズベキスタン・タジキスタンの一部に当たる。中国の唐王朝以前の時代,彼らはシルクロードの交易をほぼ独占する商業民族として活躍し,遠く中国にも多くのソグド人が来ていた。中国に居住すると彼らは名前を漢字で表記したが,その場合には,ソグド語の名前を漢字で音写して使う者と,中国風の名前を持つ者がいた。おおむね二世・三世以降は中国風の名前を名乗っている。ちなみに彼らソグド人は,出身地のオアシス国家ごとに特別の姓を持つので,文献の中から彼らの名前を見つけることは容易である。たとえば,サマルカンド出身者は康,ブハラ出身者は安という姓を持った。本研究では,これら漢字で音写されたソグド語の人名を可能な限り収集した。そして対応するソグド語に復元する試みをした。そのためにはソグド語のテキストに現れたソグド人の人名を参考にしなければならないので,発表されているテキストからソグド人名を網羅的に種集した。本報告の主要な部分はこれら2種類の人名のリストである(4・5章)。漢字で音写された人名が現れる漢文試料の簡単な解説は3章にある。別に参考のために人名以外の漢字で音写されたソグド語の要素も可能な限り集めた。(2章)。1章ではこの種の研究の歴史を概観した。リストに続く2つの章では,音写された名前を原語に復元するさいに発生する問題(6章)と,人名研究から究明される事実を概観した(7章)。
著者
吉田 豊
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.165-176, 1988 (Released:2010-03-12)
被引用文献数
1
著者
吉田 豊 半澤 惠 桑山 岳人 祐森 誠司 池田 周平 佐藤 光夫 門司 恭典 渡邊 忠男 近江 弘明 栗原 良雄 百目鬼 郁男 伊藤 澄麿 Luis K. MAEZONO Enrique Flores MARIAZZA Gustavo A. Gutierrez REYNOSO Jorge A. Gamarra BOJORQUES 渡邉 誠喜 Yutaka Yoshida Hanzawa Kei Kuwayama Takehito Sukemori Seizi Ikeda Shuhei Sato Mitsuo Monji Yasunori Watanabe Tadao Ohmi Hiroaki Kurihara Yoshio Domeki Ikuo Ito Sumimaro Maezono K. Luis Mariazza Flores Enrique Reynoso Gustavo A. Gutierrez Bojorques Jorge A. Gamarra Watanabe Seiki
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.62-69,

ペルーおよび日本国内で採取したラマ47頭,アルパカ27頭および両者の交雑種1頭とそのアルパカへの戻し交雑種1頭の計76頭の血液を用いて,19座位の血液タンパク質・酵素型を電気泳動学的に解析し,以下に示す成績を得た。1)血漿タンパク質 : Albumin, Haptoglobin,血漿酵素 : Alanine aminotransferase, Aspartate aminotransferase, γ-Glutamyltranspeptidase,赤血球タンパク質 : Haemoglobin,ならびに赤血球酵素 : Acid phosphatase, Catarase, Glucose-6-phosphate dehydrogenase, Phosphoglucomutase, Phosphohexose isomeraseの計11座位では多型は認められなかった。2)血漿タンパク質4座位 : Post-albumin(Po),Gc-protein(Gc),Transferrin(Tf)およびγ-globurin field protein(γG),血漿酵素3座位 : Amylase(Amy),Creatine kinase(CK)およびLeucine aminopeptidase(LAP),ならびに赤血球酵素1座位 : EsteraseD(EsD)の計8座位に多型が認められた。これら8座位のうちTfでは6型,PoおよびGcでは4型,γ-G, AmyおよびEsDでは3型,LAPおよびCKでは2型が認められた。ラマおよびアルパカにおけるこれら8座位の総合的な父権否定率は,0.931および0.867であった。3)ラマとアルパカとの間で血液タンパク質・酵素型を比較したところ,Gc, AmyおよびEsDにおいて種間差が認められた。すなわち,GcおよびAmyでは両種で共通な易動度を示すバンド以外に各々種特有の易動度を示すバンドが存在し,またEsDでは両種間でバンドの易動度が異なっていた。4)ラマとアルパカの交雑種,ならびにアルパカへの戻し交雑種の血液タンパク質・酵素型はラマあるいはアルパカと共通であった。5)CKおよびEsDを除く,17座位の遺伝子頻度に基づいて算出したラマとアルパカとの間の遺伝的距離は0.035であった。以上の成績から,血液タンパク質・酵素型の解析はラマおよびアルパカの集団の遺伝子構成を推定する上で有力な指標となることが明確となった。一方,ラマとアルパカが遺伝的に極めて近縁な関係にあることを裏付けるものと判断された。Blood samples of llamas and alpacas were classified by using electrophoretic procedures in the polymorphism at 19 loci. Electrophoretic variation was found for 8 loci, namely plasma proteins : post albumin (Po), Gc protein (Gc) and transferrin (Tf) and γ-globurin zone protein (γG), for plasma enzymes : amylase (Amy), creatine kinase (CK) and leucine aminopeptidase (LAP), and for red cell enzyme : esteraseD (EsD). Synthetic probabilityes of paternity exclusion about the 8 loci for llamas and alpacas were 0.931 and 0.867, respectively. No variants were found for plasma proteins : albumin and haptoglobin, for plasma enzymes : alanine aminotransferase, aspartate aminotransferase and γ-glutamyltranspeptidase, for red cell haemoglobin, and for red cell enzymes : acid phosphatase, catarase, glucose-6-phosphate dehydrogenase, phosphoglucomutase and phosphohexose isomerase. Nei's genetic distance between llamas and alpacas on the 17 loci (except CK and EsD) was 0.035. Preliminary estimate of the genetic distance measure may suggest that llamas and alpacas are more likely related as subspecies than as separate species.
著者
吉田 豊彦 藤井 彰 高橋 秋廣 三枝 義孝 朝比奈 太郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.60-74, 1987-01-20

放送局内の, よく知られているコンピュータシステムとしては, 番組送出業務に用いられている自動番組送出システムがある.近年, この種システムは, 信頼度向上のために二重化システムが採用されるなどして, ますます大規模になってきている.また, 放送施設, 機械の割当て調整, 要員の業務調整, 番組編成計画の策定にまで及ぶ機能を持った番組技術システムのようなものもある^<1)>.その一方, 最近, 番組制作部門では, 制作される番組の範囲に応じた各種コンピュータシステムが導入されつつある.この章で取りあげている制作支援システムとは, 文字どおり放送番組の制作現場で番組に密着して, その制作を支援するシステムである.近頃, この制作支援システムなる名称が各所で話題にのぼるようになってきたのは, (1)放送番組の編成の傾向が, 従来よりも情報主体のものとなり, リアルタイムで種々の大量のデータ, 番組素材を処理する機会が増してきた.(2)OA機器の普及によって, ワープロ機能, グラフィック機能, 通信制御機能のすぐれたワークステーション(パソコン)や, LAN, VAN等の各種コミュニケーションの手段を安価に利用できるようになった.(3)番組制作コストの低減, 制作時間の短縮を図るため, できるだけ番組素材, 番組関連データを整理, 保存し, 再利用する必要が生じてきた.などが主な理由である.さらに, 最近のパソコンにはソフトウェア開発用の種々のツールが完備していて, プログラム開発が容易になっていること, ハードウェアの安定度が向上し, これら機械を番組の制作現場に持ち込んでも, 専門の技術要員なしに充分, 機能を発揮できるようになってきたことも理由にあげられる.この章においては, 5-2節で, 時々刻々変化する気象情報に対応した大量の気象データを, リアルタイムで処理し, 分配, 映像信号化するシステムの例として気象情報分配システム, 5-3節で, ニュース番組の制作現場など, 即時性を要求される状況下で, 迅速な画像処理を行い, タイトル画面, 説明画面の制作を行う例として, コンピュータグラフィックスシステム, 5-4節で, 毎日毎日発生する放送済素材データ, ニュース素材データをデータベースに登録, 一元管理し, システムに加入している各社の端末からキーワードによって検索し, 再利用を行う番組ライブラリーシステム, 5-5節では, 国政レベルの選挙速報番組に用いられる速報システム, 5-6節で, スポーツ番組において, 試合の経過状況, 得点表示などに用いられる表示システム, について述べる.
著者
福田 真作 吉田 豊
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.7, pp.1098-1103, 1996-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4
被引用文献数
3 1

蛋白漏出性胃腸症は,低蛋白血症を主徴とする一種の症候群である.検査法(とくにα1-antitrypsin clearance試験)の普及によりその原疾患は極めて多彩となってきた.最近では膠原病(とくに全身性エリテマトーデス),アレルギー性胃腸症による蛋白漏出性胃腸症の報告の増加が目立つ.治療は原疾患の治療に加えて,それぞれの病態に即した食事(栄養)療法,薬物療法,外科治療が行われる.
著者
入澤 崇 宮治 昭 吉田 豊 山田 明爾 井上 陽 山田 明爾 井上 陽
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

アフガニスタン中央部バーミヤーンを中心としたハザラジャート地域において仏教がどの程度広がりをもっていたか、またバーミヤーン以西へどれほど仏教が及んでいたかについて現地調査を行った結果、8世紀前半にバンデ・アミール川流域に仏教が及んでいたことが判明した。
著者
柴田 恵三 佐原 博之 古木 勲 吉田 豊 北 義人 石瀬 淳 相沢 芳樹
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.384-388, 1994-08-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1

Severe accidental hypothermia is associated with marked depression of the brain and cardiovascular function and carries a high risk of mortality. We present three such cases with core temperatures between 18 and 27°C. Two of these patients had cardiac arrest on arrival at the emergency department. Rapid rewarming and successful recovery of spontaneous circulation was accomplished by a combination of direct cardiac compression and continuous irrigation of the pericardial cavity with warm fluids (42°C) in one of the patients with cardiac arrest. The best choice of treatment for severe hypothermia complicated by cardiac arrest is partial cardiopulmonary bypass, but this modality is not readily available in many settings. In such cases, a combination of direct cardiac compression and continuous pericardial irrigation is the best available alternative. Other rewarming modalities for severe hypothermia syndrome are also reviewed.
著者
山内 和也 山藤 正敏 吉田 豊 城倉 正祥 櫛原 功一 久米 正吾 中村 俊夫 増渕 麻里耶
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、シルクロードの交易拠点都市の成立と展開の実態を明らかにすることである。そのために、中央アジアのキルギス共和国北部に位置するアク・ベシム(スイヤブ)遺跡において発掘調査を実施し、考古学的な研究を行った。発掘調査によって都市のプランや構造を明らかにするとともに、周辺地域の調査によって、都市の成立と繁栄に不可欠な水利システムの存在を解明することができた。こうした成果によって、シルクロード沿いの拠点となる交易都市の成立と展開、そして同都市が位置する地域の発展過程について考察することができた。
著者
大平 勇一 楠木 史子 空閑 良壽 吉田 豊 小幡 英二 安藤 公二
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.545-548, 2004-07-20
参考文献数
11
被引用文献数
7 7

藍藻スピルリナおよび緑藻クロレラの比増殖速度に及ぼす通気量の影響について実験的に検討した. クロレラを培養する場合, 通気量5 mL・s<sup>-1</sup>以上で比増殖速度がほぼ一定になるのに対し, スピルリナの培養では通気量6 mL・s<sup>-1</sup>で比増殖速度が最大となった. スピルリナの培養には最適通気量があり, 過剰通気はスピルリナの比増殖速度を低下させることがわかった.
著者
梅村 坦 庄垣内 正弘 三友 健容 吉田 豊 松井 太 鈴木 健太郎 李 肖 DESMOND Durkin-Meisterernst
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

研究対象は、ベゼクリク千仏洞から1980~1981年に出土した非漢字の古文献約600点であり、その大部分は未公開の断片類である。使用される文字はウイグル文字、ソグド文字、ブラーフミー文字を中心とし、言語は古ウイグル語、ソグド語、サンスクリット語、トカラ語、漢語などにおよび、形式には写本、印刷があり、内容は仏教文献を中心として契約や公文書、詩、手紙などの俗文献に至り、10~13世紀頃のトゥルファンの複合文化を浮き彫りにする第一級の資料群であることが判明した。
著者
星野 哲夫 米澤 真興 柴田 喜明 篠澤 功 田中 周 李 峰 辰口 篤志 佐藤 順 藤森 俊二 伊月 葉子 立川 裕理 玉川 恭士 田口 文彦 吉田 豊 岸田 輝幸 小林 正文
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:03899403)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.150-151, 1998-10-20 (Released:2015-01-22)
参考文献数
3

A 55-year-old male visited our department for further examination with positive fecal occul blood test results in the mass screening for colorectal cancer. He complained of abdominal pain and diarrhea which had started about 2 months before. Small ulcers and erosions were observed in the ascending colon and cecum at colonoscopy. Biopsied specimen at the erosions showed numerous trophozoites in the mucosa. Many Lamblias were observed under a microscope in residual liquid collected in the ascending colon or cecum. Thus, this patient was diagnosed as amoebic colitis complicated with Giardiasis. At colonoscopy performed 3 weeks after Metronidazole therapy (1000mg/day) , erosions and ulcers in the ascending colon and cecum disappeared. This patient was thought to be infected with both parasites by taking contaminated foods because he was not homosexual and had no HIV antibody.
著者
太田 昌徳 石黒 昌生 岩根 覚 中路 重之 佐野 正明 土田 成紀 相沢 中 吉田 豊
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.51-57, 1985 (Released:2007-12-26)
参考文献数
13
被引用文献数
2

大腸疾患 (大腸ポリープ, 大腸憩室) 発生に対する食物繊維の抑制効果をみるため, 弘前市およびその近郊の市町村にて, 大腸ポリープ50症例, 大腸憩室33症例の食事調査を国民栄養調査方式にのつとり施行した. 対照は国民栄養調査実施家庭とし, 3群の食物繊維摂取量の比較検討を行なつた. その結果3群の1日当りの食物繊維摂取量は大腸ポリープ群18.2±5.44g, 大腸憩室群17.4±5.07g, 対照群21.1±6.57gで疾患群が対照群より有意に少なかつた. また大腸ポリープ群, 大腸憩室群の間に差はみられなかつた. 成分別では疾患群, 対照群の間でヘミセルロース, セルロース量に有意差が認められたが, リグニン量には差がなかつた. 以上の結果より食物繊維摂取量の増加が大腸ポリープ, 大腸憩室の発現を抑制する効果があると示唆された.