- 著者
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田子 泰彦
- 出版者
- 公益社団法人日本水産学会
- 雑誌
- 日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.1, pp.44-49, 2000-01-15
- 被引用文献数
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9
10
北陸地方の神通川と庄川において, サクラマス親魚の河川への遡上と滞留状況を1991∿1995年に調べた。神通川への遡上は2∿6月であり, その盛期は5月にあった。遡上親魚の大きさは尾叉長58.5±4.9cm, 体重2.8kg±0.8kgで, 遡上親魚の74.7%を雌が占めた。庄川中流域における流し網による親魚の捕獲調査では, 96.4%の個体が淵で捕獲された。神通川で4∿6月に漁獲された個体の80.2%が空胃であった。これらのことから, サクラマスは河川に遡上後は中流域の淵に滞留し, ほとんど摂餌せずに越夏するものと推測された。サクラマス資源の効率的な増大のためには, 淵の保全・復元が極めて重要であると考えられた。