著者
小林 武志 木村 凡 藤井 建夫
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.782-786, 853, 2003-09-15
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

石川県特産のフグ卵巣ぬか漬けでは,有毒卵巣がぬか漬け後に食用となるので,その減毒への微生物関与の可能性を検討した。ぬか漬け製造中の桶の液汁を採取し,これにフグ毒を添加して貯蔵を行い,その毒性を測定すると共に,ぬか漬けの微生物185株をフグ毒培地に各々接種し,培養後の培地の毒性を測定した。また,フグ毒培地にぬか漬けを直接接種,培養して,毒性変化を調べ,毒分解活性を有する微生物を増菌して分離しようと試みた。しかし,一連の実験では,微生物関与と考えられる明確な毒性低下を確認できなかった。
著者
岡本 一 川村 軍蔵 田中 淑人
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.449-454, 2001-05-15
被引用文献数
1 5

魚の摂餌行動に及ぼす背景色の影響をみることを目的とした水槽行動実験を行った。供試魚にはスズキを用い, 白, 赤, 緑, 青を背景色として擬餌5種類(白, 赤, 緑, 青および透明)を同時に投入し, 擬餌に対する魚の行動記録を水中ビデオカメラで撮影記録し, 解析した。背景が白では, 緑の擬餌に対する食付き頻度が顕著に高かった。また, 背景が赤および青では, 透明および白の擬餌に高い食付き頻度を示した。高頻度で選択される擬餌の色は背景色によって異なり, 背景色とルアー色の普遍的な組み合わせは見出せなかった。
著者
宋 興安 平田 孝 坂口 守彦
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.282-290, 2000-03-15
被引用文献数
3 10

4種の魚類の筋肉と内臓に含まれる一般成分と含窒素エキス成分を分析し比較した。筋肉と内臓の間ではタンパク質と灰分の含量は大きな差異がなく, 脂質の含量は普通肉よりも肝臓, 血合肉の方に比較的高い傾向がみられた。エキス成分中のIMPは魚種を問わず, 普通肉に多く, その他の組織に少なかったが, 内臓にはGMPが比較的多いことがわかった。含窒素エキス成分の含量は魚種, 組織ごとに違うが, 内臓では不明の部分が多いことがわかった。Glu, IMPおよびGMPの含量から算出したエキスの旨味の強さは普通肉の方が必ずしも大きいとは言えなかった。また魚種を問わず, Gluは内臓の旨味に, IMPとGMPは普通肉のそれへの寄与度が大きかった。
著者
大嶋 公一
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.998-999, 2004-11-15
著者
長谷川 功 前川 光司
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.432-434, 2008-05-15
被引用文献数
2 4

北海道千歳川支流の紋別川には,本流と支流にそれぞれ堰堤があり,その下流側では,在来種アメマスから外来種ブラウントラウトへの置換が報告されている。一方,堰堤上流側では,ブラウントラウトは確認されていなかった。しかし2004年秋から2005年春の間に本流の堰堤が決壊し,堰堤上流側へのブラウントラウトの侵入が確認された。今後,堰堤上流側のアメマス個体群へのブラウントラウトの影響が懸念される。
著者
櫻井 泉 下野 学 今野 繁基 水野 勝彦 成田 伝彦
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1-7, 2004-01-15

垂下養殖したホタテガイの成長に及ぼす流向・流速の影響を北海道鹿部町沖と増毛町沖で調べた。鹿部では前縁を北北西に向けて垂下した貝の成長が最も大きく,後縁を北北西に向けて垂下した貝の成長が最も小さい値を示した。増毛では前縁を南西と北西に向けて垂下した貝の成長が最も大きい値を示した。一方,鹿部では南東〜南流,増毛では北東〜東南東流が卓越し,流速は両海域とも概ね10cm/s以下で占められた。以上の結果から,特定方向の卓越流が存在すれば,垂下の向きによって養殖貝の成長に差が生ずることが示唆された。
著者
下田 和孝 内藤 一明 中島 美由紀 佐々木 義隆 三坂 尚行 今田 和史
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.926-932, 2003-11-15
被引用文献数
2 5

個体標識したサクラマスのスモルトを北海道南部の海域に放流し漁獲による回収結果をもとに放流時のスモルトサイズと回収率および瞬間成長係数との関係を求めた。回収率はスモルトサイズと正の相関を示し,大型のスモルトほど生残率が高いことが示された。一方,スモルトサイズは瞬間成長係数とは負の相関を示し,大型のスモルトほど成長率が低いことが示された。これらの結果から,スモルトサイズの大型化は回帰率の向上には寄与するものの,漁獲サイズの大型化には繋がらないと考えられた。
著者
岡本 一 安樂 和彦 川村 軍蔵 田中 淑人
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.672-677, 2001-07-15
被引用文献数
1 2

タコが何色の隠れ場を好んで選択するか, また選択する色は背景色の違いによって変化するかを調べることを目的とし, 供試個体にマダコおよびスナダコを用いて水槽内行動実験を行った。高照度下で黒, 赤, 橙, 黄, 緑, 青, 白の7色, 低照度下で黒, 黄, 青の3色を背景色とし, 円筒形の隠れ場8色(黒, 赤, 橙, 黄, 緑, 青, 白および透明)を設置し, 30分おきのタコの状態を目視観察, 記録した。背景色にかかわらず黒, 赤, 橙の隠れ場が両種のタコに共通して高頻度で選択された。マダコとスナダコで異なる行動結果も得られたが, スペクトル感度の違いによるものと考えられ, 両種とも, 暗さを好む傾向があると結論された。
著者
田子 泰彦
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.554-563, 2002-07-15
被引用文献数
10 8

富山湾湾奥部におけるアユ仔稚魚の主な分布範囲は,距岸3km以内の浅海域であった。庄川および神通川へのアユ稚魚の遡上期間は,河川水温が10℃を越えた4〜5月にあった。海域で大型個体の出現が認められたのは,河口付近の水温が10℃に達しない3月下旬〜4月中旬迄であった。アユの初期遡上群が大きい理由は,河川水が遡上可能な水温条件になるまで河口付近の海域に滞留を余儀なくされるためと考えられた。河川産の個体は海産よりも同じ体長では体重がより重い傾向を示したことから,特に体長6cm以上の個体は河川へ遡上した方が成長がよくなると推定された。
著者
山森 邦夫
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.922-923, 2002-11-15
被引用文献数
2
著者
松田 篤志 西島 敏隆 深見 公雄
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.847-855, 1999-09-15
被引用文献数
3 30

A. catenellaの増殖に及ぼす窒素・リン源の影響を調べた。増殖のK_Sは, NO_3-Nで7.7μM, NH_4-Nで3.3μM, PO_4-Pで0.72μMと, 他の赤潮植物プランクトンと比較して高い値であった。μ_<max>は0.47&acd;0.55day^<-1>であった。本藻は, 有機態窒素(尿素およびアミノ酸態窒素のほとんど)を窒素源として増殖に利用できなかった。一方, リン源については有機態リンをはじめ, 種々の形態のリンを利用可能であった。以上から, 本藻は有機態リン濃度の高い富栄養型沿岸域に適応しており, 低無機態窒素・リン濃度下では代表的な赤潮プランクトンよりも優位に増殖する可能性は低いと推察された。
著者
堂本 信彦
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.714-718, 2002-09-15
被引用文献数
1 1

オキアミ類は全世界に広く分布しているエビ様の動物プランクトンで、甲殻鋼、軟甲亜鋼、オキアミ目に属し、現在2科11属85種が知られている。その中で、利用上特に重要なのは、南極海に生息するナンキョクオキアミである。ナンキョクオキアミは、体長5cm以上になる大型プランクトンで、外観は桜エビに類似して、肉色はややピンクがかった白色である。その一般化学成分に関しては多数の報告がある。漁獲された海域、時期、雌雄、および成熟度合等により測定値は大きく変動しているが、水分76~83%、粗タンパク質11~15%、粗脂肪1~8%、灰分2~4%、キチン0.5%と報告されている。図1にナンキョクオキアミの主要成分の季節変化を示した。12月から8月にかけて、水分の減少、脂質の増加がみられ、特に、粗脂肪は変動幅が大きく、通常は1~4%であるが、約10%を示すものもある。ここで、ナンキョクオキアミ研究について触れてみる。日本におけるナンキョクオキアミの本格的な資源開発研究は1972年の水産資源開発センターによる資源調査と漁獲方法の開発が始まりである。
著者
平岡 修宜 荒井 修亮 中村 憲司 坂本 亘 三田村 啓理 光永 靖 米田 佳弘
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.910-916, 2003-11-15
被引用文献数
10 6

関西国際空港護岸域において採捕したスズキに超音波発信機を装着し,2001年8月に9個体,11月に11個体を放流した。護岸域に設置した受信機で行動を連続測定した結果,受信が記録され続ける個体と放流直後から記録されない個体が確認された。記録が続いた個体でも,1日以上記録の途切れる期間があり,受信範囲(約350m)を越える沖合へと移動したと考えられる。産卵期以前は小潮時に,産卵盛期は寒波・低気圧の到来時に多くの個体で記録が途切れた。スズキの沖合への移動はこれら生息環境の変化に対応していると推察された。
著者
葉 紅偉 矢田 貞美
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.460-468, 2001-05-15

切れ味を示す切断抵抗を理論的に検討し, 鮮魚用刃物の切断抵抗を計測するシステムを開発して切断抵抗を計測した。垂直方向の切断速度の増大に伴う切断抵抗は, 両刃が片刃より大きく, 水平方向に対する垂直方向の切断速度の比に反比例した。切断抵抗に対する寄与率は, 片刃では垂直より水平方向の切断速度が極めて高く, 両刃ではほぼ同程度であった。刺し身の作りでは, 片刃は魚肉繊維の圧砕が少なく, 両刃より好適である。本計測システムは人手による包丁捌きをシミュレートし, 切れ味を高精度に計測できた。
著者
佐々木 政則 川合 祐史 吉水 守 信濃 晴雄
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.928-937, 2004-11-15
被引用文献数
8 11

シロサケ肉を主原料としていずしを製造し,原料の前処理過程(水晒し,仮酢漬け)と樽漬込み後,低温(5℃前後)熟成過程における化学成分と徹生物相を観察した。いずしは漬込み35日以降に食用可能となり,44日後にいずし特有の風味が生成した。いずしの有機酸は酢酸主体であり,熟成中のpHは5以下を維持した。熟成中に生菌数の著しい増加はなかったが,漬込み14日以降に一般細菌ではBacillus属が優勢となり,35日以降,乳酸菌ではLeuconostoc msenteroides subsp. Cremorisが,酵母ではDebaryomyces hanseniiが優勢種となった。
著者
原田 真美 東海 正 内田 圭一 清水 詢道
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.894-904, 2006-09-15
被引用文献数
2 3

東京湾内湾域におけるマアナゴとのヌタウナギ分布を検討するために,あなご筒漁船の漁獲操業日誌(1994〜2002年)から漁区別CPUE(漁獲量kg/筒1本)の月別分布図を作成した。マアナゴは,春季に来遊,着底した後,呼称めそあなご(全長35cm未満のマアナゴ)として内湾域の千葉県寄りの漁場で8月頃から混獲され始め,全長35cmに達したものが11月頃から銘柄あなごとして水揚げされ,内湾域全域に分布を広げる。ヌダウナギは,主に内湾域南西部の中ノ瀬周辺の水深30m以深に分布した。これらの分布や季節変化に影響する要因についても考察した。