著者
古旗 崚一 所 史隆 根本 隆夫 加納 光樹
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.21-00010, (Released:2021-10-26)
参考文献数
31

チャネルキャットフィッシュによる張網漁獲物の捕食実態を把握するため,2016年6-8月と2017年3-8月に霞ヶ浦で張網により採集した個体の食性を精査した。本種は張網に同時に入網するワカサギ,シラウオ,ウキゴリ,テナガエビを主に食べていた。体長20 cm以上の個体は自然環境下と比べて胃充満度指数が極端に高く,張網内でそれらを摂餌したと考えられた。張網内での漁獲物の被食率はワカサギで74%,シラウオで80%,ウキゴリとテナガエビで30%以上と推定され,張網漁業への甚大な影響が懸念された。
著者
小林 武志 木村 凡 藤井 建夫
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.782-786,853, 2003-09-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

石川県特産のフグ卵巣ぬか漬けでは,有毒卵巣がぬか漬け後に食用となるので,その減毒への微生物関与の可能性を検討した。ぬか漬け製造中の桶の液汁を採取し,これにフグ毒を添加して貯蔵を行い,その毒性を測定すると共に,ぬか漬けの微生物185株をフグ毒培地に各々接種し,培養後の培地の毒性を測定した。また,フグ毒培地にぬか漬けを直接接種,培養して,毒性変化を調べ,毒分解活性を有する微生物を増菌して分離しようと試みた。しかし,一連の実験では,微生物関与と考えられる明確な毒性低下を確認できなかった。
著者
佐藤 正人 藤田 学 坪井 潤一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.49-55, 2023-01-15 (Released:2023-02-07)
参考文献数
41

種苗放流されるヤマメ養殖魚との交雑が野生サクラマスの生活史形質に及ぼす影響を評価するため,米代川産サクラマスの雌と関東地方由来のヤマメ養殖魚の雄を交雑させた。作出した交雑魚のスモルト化の盛期は3月であり,養殖ヤマメ(12月)と米代川産サクラマス(4月)の中間であった。1歳における交雑魚の雌の成熟率は43.1%であり,ヤマメ養殖魚(75.7%)と米代川産サクラマス(6.8%)の中間であった。得られた結果から,ヤマメ養殖魚との交雑によってサクラマス地域個体群の生活史特性が変化する可能性が示唆された。
著者
鈴木 康策
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.23, no.7-8, pp.435-437, 1957-11-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
2

In obtaining skipjack having so little body oil as to be suitable for making good “Katsuobushi” thereof, we cannot still to-day but rely on the natural coming of such material. If we had, therefore, any proper means of removing excessive oil from the fish, we would be able to remove also the limitation arising from the seasonal overgrowth of skipjack oil. Carrying out a few experiments on a small scale, the author has ascertained that very satisfactory results can be achieved by applying an alternating current to the material interposed intimately between the electrodes kept in running water. The results are summarized as follows. 1. The higher the voltage, the less oil remains in the meat after the treatment by an electric device shown schematically in Fig. 2. 2. Ampere of the electric current is not of consequence for the effective removal of the body oil. The best range of available voltage is 170-200 V., while too high voltages cause the meat to crack. 3. Continuous refreshment of water surrounding the meat as shown in Fig. 2 is essential to avoiding large and fruitless consumption of electric energy.
著者
北田 修一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.241-250, 2016 (Released:2016-06-07)
参考文献数
52
被引用文献数
1
著者
米田 彬史 板倉 光 荒井 考磨 海部 健三 吉永 龍起 三宅 陽一 白井 厚太朗 木村 伸吾
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.18-00038, (Released:2019-03-15)
参考文献数
69
被引用文献数
4 11

日本におけるニホンウナギの自然分布域を明らかにするために,文献調査からシラスウナギの来遊記録をまとめ,耳石安定同位体比分析に基づく判別手法から全国の河川・湖沼から収集した個体を天然加入個体と放流個体に判別した。その結果,九州一帯,瀬戸内海沿岸,青森県以南の太平洋沿岸,京都府以南の日本海沿岸は自然分布域の主要部,福井県から青森県までの日本海沿岸は自然分布域の縁辺部と推定された。しかし,主要部であっても天然加入個体の割合が3割程度以下の場合もあり,資源が放流個体に依存している状況がうかがえた。
著者
小林 武志 木村 凡 藤井 建夫
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.782-786, 853, 2003-09-15
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

石川県特産のフグ卵巣ぬか漬けでは,有毒卵巣がぬか漬け後に食用となるので,その減毒への微生物関与の可能性を検討した。ぬか漬け製造中の桶の液汁を採取し,これにフグ毒を添加して貯蔵を行い,その毒性を測定すると共に,ぬか漬けの微生物185株をフグ毒培地に各々接種し,培養後の培地の毒性を測定した。また,フグ毒培地にぬか漬けを直接接種,培養して,毒性変化を調べ,毒分解活性を有する微生物を増菌して分離しようと試みた。しかし,一連の実験では,微生物関与と考えられる明確な毒性低下を確認できなかった。
著者
小沢 千重子
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.2177-2181, 1986-12-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
13
被引用文献数
5 4

Attempts were made to use sodium bicarbonate as an accelerator in detoxification of toxic puffer ovaries during pickled product processing, which is rather common in Ishikawa Prefecture, Japan. Fresh ovaries of a puffer, “mafugu”Fugu vermicularis porphyreus were divided into three portions, sprinkled with a solid salt mixture containing O, 3.3 or 6.6% NaHCO3, and were stored for seven months, followed by one-year pickling with rice bran. Samples were taken at each step and assayed for toxicity, pH, VBN, etc. The results obtained showed that the detoxification during the process was most marked when the solid salt containing 6.6% NaHCO3 was used for sprinkling. In addtion, organoleptic tests demonstrated that the pickled product thus processed did not differ from the one prepared according to the usual method, with respect to taste, flavor and appearance.
著者
坂上 嶺 佐藤 駿 松重 一輝 安武 由矢 日比野 友亮 眞鍋 美幸 内田 和男 望岡 典隆
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.20-00054, (Released:2021-03-12)
参考文献数
42
被引用文献数
5

ニホンウナギ資源減少の原因の1つとして,鳥類からの被食リスクを低減する隠れ場所となると考えられる浮き石の,河川改修による減少が挙げられる。本研究では,浮き石による間隙の存在が,本種の生残に影響を与えるかを検証するために,間隙が利用可能な池と利用不可能な池の2群における生残率と肥満度の変化量を比較する実験を行った。その結果,間隙が利用可能な池では供試魚の生残率が有意に高く,浮き石による間隙は捕食者である鳥類から餌として発見される可能性を下げる効果があることが確認された。
著者
森岡 泰三 堀田 和夫 友田 努 中村 弘二
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.212-214, 2005 (Released:2005-07-15)
参考文献数
9
被引用文献数
3 3

ハタハタの卵色の決定に関与する要因を把握するため,異なる餌料で半年間飼育した 2 群から得た成熟卵や餌料の抽出液の吸光度を比較した。オキアミとイカナゴを混合した餌料で育成した群は配合飼料の群に比べて卵,餌料とも吸光度が大きく,群の間に有意差が認められた。前者の卵色は濃い赤や黄色,後者は淡い緑が基調となっており,餌料成分は卵色の決定に関与する要因の一つと推定された。
著者
山名 裕介 浜野 龍夫 山元 憲一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.299-306, 2005 (Released:2005-07-20)
参考文献数
12
被引用文献数
14 12

伸縮する成体マナマコの体長を正確に測定するために,麻酔方法を検討した。未変性エタノールの 10% 海水希釈液にメントールを飽和溶解させ,これを濾過して基準液を作成した。基準液の 40% 海水希釈液が,成体マナマコに対して効果的な麻酔剤であった。この麻酔液に浸漬したナマコは,体色型,体サイズ,水温に関係なく,体長変化が止み,口縁触手が弛緩して伸び,かつピンセットで体表を突付いても無反応な状態となった。麻酔時の体長は変動幅が小さく,新測定基準として有効と考える。
著者
大戸 夢木 坂上 嶺 日比野 友亮 松重 一輝 内田 和男 望岡 典隆
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.21-00043, (Released:2022-03-16)
参考文献数
39
被引用文献数
2

ニホンウナギの成長や降海時の順応の場である汽水域のハビタットの劣化は著しい。本研究では,このハビタットの創出・復元を目標に,本種がどのような浮石間隙構造を好むかを生活史段階ごとに検証した。汽水域において異なるサイズの石(大,長軸30 cm;中,20 cm;小,10 cm)を詰めた石倉カゴ(研究用漁具)の利用状況を比較したところ,未成熟のクロコや黄ウナギは間隙が細かい「小」を好むが,海へ産卵に向かう銀ウナギは「大」,「中」のみで出現した。これは,間隙構造の多様性が河川生活を完結する上で重要であることを示唆している。
著者
北西 滋 向井 貴彦 山本 俊昭 田子 泰彦 尾田 昌紀
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.400-402, 2017 (Released:2017-05-22)
参考文献数
17
被引用文献数
5

サクラマス自然分布域におけるサツキマスによる遺伝的撹乱の有無を調べるため,両亜種の在来分布域4道県(サクラマス:北海道,富山県,岐阜県,鳥取県;サツキマス:岐阜県)の個体を対象に,マイクロサテライトDNA解析をおこなった。帰属性解析をおこなった結果,神通川水系上流域(岐阜県)と,甲川および陸上川(鳥取県)において遺伝的撹乱が認められた。
著者
藤田 智也 北田 修一 原田 靖子 石田 ゆきの 佐野 祥子 大場 沙織 菅谷 琢磨 浜崎 活幸 岸野 洋久
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.163-173, 2017 (Released:2017-03-29)
参考文献数
40
被引用文献数
3 4

北海道から東北太平洋沿岸の産卵場9か所において2003年から2014年に採取したニシン16標本618個体についてmtDNA調節領域の塩基配列549 bpを決定した。FSTのNJ樹は,北海道,尾駮沼,宮古湾・松島湾のクラスターを描き,本州より北海道で遺伝的多様性が高かった。東日本大震災後の宮古湾ではハプロタイプ頻度が震災前と大きく異なり,尾駮沼に酷似した。北海道では約60万年前から集団が拡大,本州では20万年程度安定していたが,最終氷期後の温暖化と一致して2万年ほど前から急減していると推測された。
著者
張 成年 山本 敏博 渡辺 一俊 藤浪 祐一郎 兼松 正衛 長谷川 夏樹 岡村 寛 水田 浩治 宮脇 大 秦 安史 櫻井 泉 生嶋 登 北田 修一 谷本 尚史 羽生 和弘 小林 豊 鳥羽 光晴
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.190-197, 2013 (Released:2013-03-22)
参考文献数
17
被引用文献数
3 2

アサリ殻模様の非対称性は優性遺伝形質である。非対称型(A)頻度は北海道と関東周辺で高く(14.5~28.1%),東北,浜名湖以西,中国で低かった(0~9.9%)。千葉県盤州では A 型頻度が低いと考えられる地域のアサリが 2007 年まで放流されてきた。盤洲の 2005 年度標本では殻長 20 mm 未満で A 型が 22%,25 mm 以上で 0% であり大型グループで放流個体が多いことが示されたが,2011 年以降の標本ではサイズによらず A 型が 17.2~20.3% 見られ,放流個体による遺伝的攪乱が限定的であることが示された。
著者
芳山 拓 坪井 潤一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.176-178, 2019-03-15 (Released:2019-04-02)
参考文献数
20

降海型アメマスとサクラマスを狙ったルアー釣り遊漁において,鈎の形状および装着方法による掛かりやすさの違いについて検討した。本研究では一般的に用いられるトリプルフックと,フッキングダメージが小さいとされるシングルフック,一か所に2本のシングルフックを装着する方法の3種類について,掛かった魚のうち釣獲に成功した割合を比較検討した。その結果,シングルフックを2本装着する方法が,掛かりやすさと鈎による損傷軽減を最もよく両立し,キャッチアンドリリースを前提とした場合に有効であると考えられた。
著者
有賀 博文
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.292-295, 2007 (Released:2007-04-03)
参考文献数
7
被引用文献数
6 4