- 著者
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針生 仁
- 出版者
- 公益社団法人日本水産学会
- 雑誌
- 日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.5, pp.710-713, 2002-09-15
- 被引用文献数
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世界一の長寿国となった日本人の伝統食である和食が健康に良いと見直されている。近年、和食の代表的素材である魚の油脂成分に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)の生理機能が究明され、医薬品や健康食品素材として実用化が進展している。健康なタンパク質源のイメージを持つ魚の健康効果の一端が明らかにされたが、そのタンパク質部分についてはどうであろうか。食品の有する生理機能"食効"が科学的に実証され、厚生労働省許可の下に、パッケージに一定の範囲で効能表示ができる特定保健用食品が販売されている。ACEは、不活性なアンジオテンシンIを強力な昇圧物質であるアンジオテンシンIIに変えるとともに、動脈弛緩、血圧降下作用を示すブラジキニンを不活性化する。そのためACE阻害剤は、強力な降圧効果を示す。昨今、高血圧の臨床において、カプトプリル等のACE阻害薬やロサルタン等のアンジオテンシンIIアンタゴニストが主要薬として使用されている。かつお節やイワシの魚タンパクに由来するペプチドが、「血圧が高めの方の食品」として実用化されているのは、魚の新たな健康機能の発見であり、その実像を少し掘り下げてみたい。