著者
長田由紀子 長田 久雄
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-10, 1994
被引用文献数
3

本研究の目的は, 高齢者の回想の特徴および回想と適応との関係を若年者と比較し, 老年期における回想の意味を検討することである。われわれは, 目常生活において自然に起こる回想の量を測定するために, 8項目からなる回想尺度を作成し, 質問紙を用いて個人の回想の量の測定を行なった。対象者は18〜24歳の132名 (学生群) , 40〜64歳の97名 (壮年群) , 65〜95歳の133名 (老年群) であった。回想の量について3群の差を検討した結果, 他の2群に比べて学生群の回想の量が多いことが示された。老年群でよく回想をする者は現在満足度が低く, 死について意識することが強く, 死の不安が強い傾向が示されたが, 回想に対して「気分転換」や「重荷から解放される」という効果を感じていた。結果から, 青年期における回想は自我同一性の確立を反映している可能性が示唆された。また, 老年期において回想を行なうことが, 死を意識することと関係があることが示された。老年期における回想の高頻度と, 満足度の低さとの間に関係が示されたが, この結果は, 回想による人生の統合が失敗に至ったことを示唆するとともに, 不適応状態への対処として回想が用いられる可能性を示唆するものであった。

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私の知る限り、Websterの尺度の日本語版は作成されていないようです。 したがって、老人用の回想機能尺度は、他の回答者様達が紹介しているような日本の尺度を使用するしかないと思います。 下記のような論文には、日本で作成された尺度が出ています。ただ、下のリンク先のうち、発達心理学研究の本文は、質問者様の自宅のパソコンでは無料では読めません(私の勤務先は、これらのデータの提供会社と契約している ...

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