著者
松尾 浩一郎
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.165-175, 1997-10-30

本研究の目的は, 感情を表現した比喩の理解が幼児期においてどのように発達するのかを明らかにすることであった。本研究では, 喜び, 悲しみ, 怒りという3種類の感情を表現する直喩を作成し, 4歳児, 5歳児, 6歳児における理解を調べた。被験児は, 実験者の口頭で読まれた比喩文に対して, 4枚のカード(喜び, 悲しみ, 怒りの表情を示したカードおよび白紙のカード)の中から1つを選ぶというやり方で, 比喩文が表現する感情について答えた。白紙のカードは, 比喩文が表現する感情がわからない場合, または比喩文が喜び, 悲しみ, 怒り以外の感情を表現していると思われる場合に選択するように教示された。主な結果は次のとおりであった。(1)感情の種類によって比喩理解の発達の様相が異なっていることが示唆された。(2)4歳児の正答率はチヤンスレベルをこえたが, 比喩の理解が成人に類似した形で安定するのは5歳になってからであった。(3)熱い液体に関わる語句によって怒りが表現された場合に悲しみの表現と判断しやすいなど, 幼兄の誤答には一定の傾向が認められた。

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言葉の発達とは他人と同じに感じること、ということを感じる物悲しい研究。「きらきら光る星」が悲しみだったり、「火傷しそうなお湯」が悲しみ、「赤い鬼」が喜びだったりする自由!http://t.co/yvPC4K9v

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