- 著者
-
藤崎 春代
- 出版者
- 一般社団法人日本発達心理学会
- 雑誌
- 発達心理学研究 (ISSN:09159029)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.3, pp.221-231, 1998-12-15
本研究では, 1日および1週間単位での日課が異なる2園(幼稚園と保育園)に所属する4・5歳クラス児に対して, 園生活の流れについて個別面接調査を行い, 多様な出来事についてどのような一般的出来事表象(GER)を形成しているのかについて検討した。すべての子どもに, 「いつも園では何をするか?」と園生活全体の流れを聞く質問を行うとともに, 幼稚園の一部の子どもには「今日は何をしたのか?」, 残りの子どもには「*曜日は何をするか?」という質問を行った。分析の結果, まず, 行為を述べる際に主語無しで現在形表現をしており, 時間的順序も一定であるなど, 幼児が園生活GERを形成していろことが確認された。しかしながら, 幼椎園児の特徴として, 子どもが共通に述べる行為数は少なく, これは幼稚園生活において生活習憤的活動が少ないことによると思われた。多様性の表象の仕方については, GERとしてではなくエピソード的に記憶する, 多様性を園生活GERの変化項としてとらえる, 条件により園生活GERを形成し分ける, の3タイプが検討された。