著者
竹内 裕美 寺井 堅祐 梅沢 章男
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.14-20, 1999

本研究は, 実験的ストレッサーに対する心臓血管反応性とアレキシサイミア人格特性の関連性を明らかにすることを目的とした.健康な男女大学生25名に対して, 暗算(能動的対処課題)と寒冷昇圧(受動的対処課題)の2種類の課題を提示した.また, 全被験者に対しトロント・アレキシサイミア尺度(TAS-20)とMMPIを施行した.被験者はTAS-20の中央値によって, アレキシサイミア高・低群に分けられた.心拍数(HR)と平均血圧(MBP)を分析したところ, 以下の所見を得た.(1)HR, MBPは, 実験的ストレッサーに対して有意な増加を示した.(2)アレキシサイミア高群は, 低群と比較して, 有意に低いHR反応性を示した.(3)MBP反応性については, アレキシサイミア高・低群に統計的な差異は認められなかった.(4)アレキシサイミア高群は, 低群と比較すると, MMPI妥当性尺度の修正点(K)が有意に低く, 抑うつ(D), 精神衰弱(Pt), 社会的内向性(Si)尺度において高い丁得点を示した.これらの結果より, アレキシサイミア傾向の高い個人は, 強い主観的な不適応感を持っているにもかかわらず, ストレス刺激に対する心臓側の反応性は決して高くないと考えられた.

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