- 著者
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松尾 眞砂子
- 出版者
- 社団法人日本家政学会
- 雑誌
- 日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.8, pp.503-509, 2005-08-15
- 被引用文献数
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5
アカパンカビで発酵させた大豆とおからの9:1混合物を使った塩分4%味噌(LO_1-味噌)の苦味を抑え, 和洋両風料理に利用でき, 健康維持に役立てるため, LO_1-味噌と同じ原料を使って塩分6%の味噌(MO_1-味噌)を調製した.官能検査によるとMO_1-味噌は香りは弱いが, 苦味が無視できる程度に弱く, それで調理した和食・洋食料理はいずれも美味しいと評価された.MO_1-味噌はイソフラボンのアグリコン量が6%大豆味噌(MC-味噌)より多かったが, LO_1-味噌より少なかった.MO_1-味噌の苦味の弱さと調理した料理の高い嗜好性は, LO_1-味噌よりイソフラボンアグリコン量が少ないことによるものであろう.MO_1-味噌の70%エタノール抽出物のDPPHとスーパーオキシドアニオンの消去力と抗変異原性は水抽出物より著しく強く, それらの消去力は加熱の有無にかかわらずMC-味噌よりはるかに強かった.MO_1-味噌のこれらの高い機能性は, イソフラボンのアグリコン含量がMC-味噌より多いことによるものであろう.これらの結果は, MO_1-味噌がMC-味噌より健康的に有用であろうことを示していた.