著者
宮澤 節子 鈴木 豊子 松尾 眞砂子 坂井 絵美
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.29-32, 2008-03

大豆テンペおよびピーナッツテンペの調理と嗜好性との関係について検討した結果,ピーナッツテンペ料理は大豆テンペ料理より味・香り・総合評価の3つの要素において好まれ,その間に有意差がみられた.一方,大豆テンペは本研究のパネルに好まれない傾向を示した.嗜好性からみた調理適性については,いずれのテンペも天ぷら(揚げる)・スコーン(焙焼)の嗜好性が高く,ペースト(生)・みぞれ和え(蒸し物)・焼き物(素焼き)においてはテンペの種類により嗜好のばらつきがみられた.特に,大豆テンペのペーストの味,焼き物の味と香りが著しく好まれない傾向であった.
著者
松尾 眞砂子
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.426-431, 2008-06-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
24

かねて, 著者には, あらかじめオンチョム菌で発酵させた大豆とおからを利用した低塩米味噌の特性について詳細に解説して頂いた (本誌第99巻第科号) が, 今回は, 市販の代表的な味噌について, 調理温度や併用する香辛料が, 特に, 老化防止, 発癌予防効果を有する抗酸化作用, ラジカル消去力 (活性酸素捕捉力) など味噌の機能性に対する影響を検討された結果について詳しく解説頂いた。
著者
松尾 眞砂子
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

〔目的〕味噌によって生活習慣病を予防するため、味噌の抗酸化力を維持・増進する味噌の調理法、併用する香辛料や野菜の影響を検討する。〔方法〕調理温度、香辛料野菜の種類による味噌の褐色度、ポリフェノール化合物、イソフラポンの変動とORACの関係を測定する。味噌の生体内抗酸化力への影響は、野菜の味噌煮液をラット肺ホモジネートの上清に加え、SOD活性、GSH-Px活性と12-HETE生成量の変動を測定して推定した。〔結果〕1.調理法の影響 味噌の抗酸化力は主として70%エタノール可溶性画分のORACで、色度の明度、総イソフラボン量やアグリコン量に比例した。味噌の調理法による抗酸化力は蒸す、煮る、妙める、焙る、加圧加熱の順で褐色度、DPPH-SCとORACが増大し、総イソフラボン量とアグリコン量が減少した。加熱によるORACの増大要因にはメラノイジンの生成が示唆された。2.香辛料の影響 味噌を香辛料と調理すると、ショウガやゴマはポリフェノール量とOARCを増加し、ニンニクはポリフェノール量やイソフラボン量は増加しなかったが、ORACを増加した。唐辛子は褐色度とORACを低下させ、和芥子はポリフェノール量を増加したがイソフラボン量をORACを減少させた。これらの結果から、ショウガ、ニンニクとゴマはそれぞれ固有の抗酸化物質を溶出付加して味噌の抗酸化力を向上させ、唐辛子はメラノイジンの生成を抑制し、和芥子はメラノイジンの生成抑制とイソフラボンアグリコン量の減少により味噌の抗酸化力を減少させることが示唆された。3.野菜の影響 味噌をニンニク、葉ネギ、チンゲンサイ、ナスやブロッコリーと加熱するとORACが増加した。その要因には、ニンニクの場合はポリフェノールの溶出により、葉ネギ、チンゲンサイとブロッコリーの場合はポリフェノールの溶出と褐色度の増加が示唆された。4.生体内抗酸化力 ニンニク、ゴボウ、葉ネギはSOD活性とGSH-Px活性や12-HETE生成を促進し、タマネギ,チンゲンサイとピーマンはSOD活性を増大し、白ネギはSOD活性と12-HETEの生成を促進し、ナスはGSH-Px活性と12-HETEの生成を促進して体内でも味噌の抗酸化作用を増強することが示唆された。
著者
松尾 眞砂子 人見 英里
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.330-334, 2008-03-30 (Released:2008-05-09)
参考文献数
11

本研究は, 味噌の摂取により健康を維持増進する研究の一環として, ニンニク, ダイコン, ゴボウ, タマネギ, 白ネギ, 葉ネギ, チンゲンサイ, ブロッコリー, ナスとピーマンを用い, 野菜が味噌の抗酸化力に及ぼす影響をin vitro系とex vivo系で調べた。in vitro系では, 野菜の味噌煮液がSOSAに及ぼす影響を調べた。ex vivo系では, ラットの摘出肺のホモジネート抽出液に野菜の味噌煮液を加え, SOD様活性, GSH-Px様活性への影響を調べた。また, 還元力を確認する他の方法として肺ホモジネートに野菜の味噌煮液を添加し, 12-HETEの生成量への影響を調べた。  ニンニク, 葉ネギ, チンゲンサイとブロッコリーの味噌煮液は味噌のSOSAを増大した。しかし, このin vitro系におけるSOSAへの影響は必ずしもex vivo系におけるSOD様活性への影響と一致しなかった。ex vivo系のデータを重視すると,実験結果から次のことが示唆された。ニンニク, 白ネギ, 葉ネギ, チンゲンサイやピーマンの味噌煮液は活性酸素消去力と過酸化物還元力の両方を増強し, タマネギの味噌煮液は活性酸素消去力を増強し, ダイコン, ゴボウやナスの味噌煮液は過酸化物還元力を増強することによって味噌の生体内抗酸化作用を増強するであろう。したがって, 上記野菜類を味噌汁の具に活用すると, 味噌の生体内抗酸化力は増強される可能性があると推測される。
著者
松尾 眞砂子
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.91, no.9, pp.619-626, 1996-09-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14

テンペはインドネシアが世界の食文化に貢献する最高のものとされ, 海外の研究者からも注目されてきた。そのテンペ菌を利用して発酵したおからの食材としての加工適性, 保存性および機能性について解説していただいた。
著者
松尾 眞砂子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.1029-1034, 1999-10-15
参考文献数
20
被引用文献数
4

The usage of okara koji (Koji), okara fermented by Aspergillus oryzae, as a new food stuff was tested by preparing cookies and cupcakes, and their texlural properties and palatability were studied. The capacity for water-holding and oil-absorption of Koji was respectively 5 times and 2 times higher than that of soft flour. Koji could be substituted for soft flour by up to 10% in cookies and 5% in cupcakes without any effect on their textural properties and palatability. Koji significantly suppressed the oxidation of lipids in cookies and the retrogradation of starch in cupcakes during storage. These results suggest that Koji could be a useful foodstuff, not only as a substitute for soft flour, but also as a freshness-retaining ingredient in high-fat baked products during storage.
著者
松尾 眞砂子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.503-509, 2005-08-15
被引用文献数
5

アカパンカビで発酵させた大豆とおからの9:1混合物を使った塩分4%味噌(LO_1-味噌)の苦味を抑え, 和洋両風料理に利用でき, 健康維持に役立てるため, LO_1-味噌と同じ原料を使って塩分6%の味噌(MO_1-味噌)を調製した.官能検査によるとMO_1-味噌は香りは弱いが, 苦味が無視できる程度に弱く, それで調理した和食・洋食料理はいずれも美味しいと評価された.MO_1-味噌はイソフラボンのアグリコン量が6%大豆味噌(MC-味噌)より多かったが, LO_1-味噌より少なかった.MO_1-味噌の苦味の弱さと調理した料理の高い嗜好性は, LO_1-味噌よりイソフラボンアグリコン量が少ないことによるものであろう.MO_1-味噌の70%エタノール抽出物のDPPHとスーパーオキシドアニオンの消去力と抗変異原性は水抽出物より著しく強く, それらの消去力は加熱の有無にかかわらずMC-味噌よりはるかに強かった.MO_1-味噌のこれらの高い機能性は, イソフラボンのアグリコン含量がMC-味噌より多いことによるものであろう.これらの結果は, MO_1-味噌がMC-味噌より健康的に有用であろうことを示していた.
著者
松尾 眞砂子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.41-47, 2007-01-15
被引用文献数
2

Okara-tempeh (the okara fermented with Rhizopus oligosporus, O-tempeh) is a typical functional food, but its use has been limited for strong enzyme activities of R, oligosprus. To expand the use of O-tempeh as a high functional and high dietary fiber foodstuff, the utilization of O-tempeh inactivated enzymes with cooking and pasted (O-tempeh paste) for an ingredient of pancake and croquette was examined. Any significant differences were not found between ordinary pancakes and substituted pancakes substituted for 10% soft flour with okara or O-tempeh paste in volume, hardness, or cohesiveness. The sensory evaluation scores of pancake substituted for 10% soft flour with okara were lower in flavor, taste and overall than these of ordinary pancake. These of pancake substituted with 10% O-tempeh paste were lower in flavor and overall than those of ordinary pancake. The dietary fiber of the pancake made from flour substituted 10% O-tempeh paste was 2.4-fold that of ordinary pancake. The sensory evaluation score of croquettes substituted for 30% mashed potato with okara was lower than that of ordinary croquettes in overall, but no significant difference at sensory evaluation scores was detected between ordinary croquette and substituted croquette with O-tempeh paste for 30% mashed potato in flavor, taste, texture and overall. The dietary fiber of croquette substituted for 30% mashed potato with O-tempeh paste was about 3.5-fold that of ordinary croquette. Based on these results, it was suggested that O-tempeh paste was more useable than okara as a foodstuff, and could be used as a substituting ingredient for 10% soft wheat flour to pancake and 30% mashed potato to croquette. Furthermore, it was confirmed that O-tempeh paste was useful as a high dietary fiber stuff.