著者
美濃谷 直志 川上 覚 円福 敬二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.383, pp.31-35, 1997-11-20

傾角30゜のバイクリスタル基板を用いて高温超伝導SQUIDを製作した。T=77Kにおける傾角30゜のバイクリスタル接合の特性は接合幅W=2μmで大きな抵抗(R_s=10Ω)、高いI_oR_s積(I_oR_s=250μV)を示した。また、この特性は今回製作した17個の素子で再現性良く得ることができた。SQUIDの変調電圧では、インダクタンスがL_s=60pH、100pH、160pHでそれぞれΔV=85μV、50μV、20μVと非常に大きな変調電圧が得られた。雑音特性ではL_s=60pHのSQUIDでΦ_n=6μΦ_o/Hz^<1/2>(白色雑音領域)、f=1HzではΦ_n=110μ_o/Hz^<1/2>であった。そして、f=1Hzでの1/f雑音から求められる臨界電流の揺らぎの割合はδI_o/I_o=1.7×10^<-4>であった。この値は従来の傾角で報告されている値と同じであり、傾角に依存しないことがわかった。以上の結果は傾角30゜のバイクリスタル接合がSQIDの高性能化に有効であることを示している。

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