著者
内田 直人 円福 敬二 吉田 啓二 入江 冨土男
出版者
The Vacuum Society of Japan
雑誌
真空 (ISSN:05598516)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.667-677, 1984-08-20 (Released:2009-09-29)
参考文献数
35

Magnetic-flux trapping in Pb-alloy thin films is studied experimentally. In order to clarify pinning characteristics of thin films, which dominate flux trapping, trapped flux in Pb-alloy thin films is measured in-situ from the increment of the quasiparticle current of the Josephson junction made of these Pb-alloy thin films. Experimental results are discussed with the critical state model based on the pinning theory of superconductors. From the material dependence of flux trapping, it is shown that the addition of Au to Pb increases flux trapping due to the occurence of strong pinning centers of normal precipitates of AuPb2 and AuPb3 etc. It is also shown that the addition of Bi decreases flux trapping due to the large value of the London penetration depth of PbBi films. From the temperature dependence of flux trapping, it is shown that the amount of the trapped flux is reduced by raising the temperature of thin films. Finally, the effect of the trapped flux in junction electrodes on the suppression of the critical current of the junction is discussed quantitatively.
著者
山本 和志 白 石 田邉 一博 吉田 敬 笹山 瑛由 松尾 政晃 円福 敬二
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成27年度電気・情報関係学会九州支部連合大会(第68回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.215, 2015-09-10 (Released:2018-02-16)

磁気ナノ粒子の表面に検査試薬や薬剤等を結合したものは磁気マーカーと呼ばれている。磁気マーカーを体内に注入し、その磁気信号を検出することで癌等の疾病領域を高感度・高空間分解能に画像化する磁気ナノ粒子イメージング技術が医療診断において注目されている。本研究では、センチネルリンパ節生検への応用を想定した磁気ナノ粒子イメージングシステムの開発を目指し、傾斜磁界(場所によって磁界強度が変化する磁界)を用いてFFP (Field Free Point) を作りだすことで、空間分解能の改善を図った。また、シフトコイルを用いて電気的にFFPを走査することで、高速かつ高空間分解能に磁気ナノ粒子イメージングを行う電気的走査法を開発した。
著者
岡部 洋一 円福 敬二 吉田 啓二 高田 進 藤巻 朗 田中 三郎 松田 瑞史 藤井 龍彦
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

1.超伝導回路岡部は、BSFQ回路方式に基づくAND、OR、XOR、NOTの各論理ゲートの動作マージンを±30%にまで拡大することに成功した。また、超伝導体と半導体のハイブリッドコンピュータ実現を見据え、インターフェイスデバイスを試作した。高田は、ユニバーサルNANDゲートおよびNORゲートの設計を行い、シミュレーションにより高速動作と低消費電力性を確認した。藤巻は、界面改質型高温超伝導体ジョセフソン接合の試作を行い、臨界電流値のばらつきはピンホールに起因するという結論を得た。2.SQUID応用円福は、高温超伝導SQUIDにより磁気微粒子からの微弱磁界が高精度に測定できることを利用して免疫反応検出システムを開発し、従来の機器よりも10倍〜100倍の感度で検出が可能であることを示した。田中は、高温超伝導SQUID顕微鏡の試作を行い、室温の磁束ガイド針を用いた場合でも100μmよりも高い分解能が得られることを示した。松田は、高温超伝導SQUIDグラジオメータを作製し、フラックスダム構造を用いることにより環境磁場雑音影響を大幅に軽減できることを示した。藤井は、生体磁場測定のための医療用磁気センサにおいて、環境磁場測定用SQUIDを付加することにより磁気シールドを用いずに微小磁場を測定することに成功した。3.高周波応用吉田は、高温超伝導薄膜上でアンテナとフィルタを一体化することにより、特性の向上が図れることをシミュレーションで示した。
著者
辻 裕介 平川 慎太郎 百冨 隆二 松尾 政晃 円福 敬二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.364, pp.27-32, 2010-01-13
参考文献数
10

冷却した銅線または高温超伝導テープで作製した検出コイルと高温超電導SQUIDを結合したマグネトメータの性能評価を行った。この検出コイル分離型の構成は大きなサイズの検出コイルが要求される時に有効である。例として、TEM法を用いた地質探査のためのマグネトメータを設計した。巻数50ターン、コイル直径100mmという比較的大きなサイズの検出コイルを用いたとき、マグネトメータの雑音磁界が周波数10Hzにおいて0.3pT/Hz^<1/2>、100Hz以上の高周波において40fT/Hz^<1/2>以下という結果が期待できることを示した。このシミュレーション結果の感度は実際の応用に対して十分実用的である。また、高温超伝導ビスマステープ線材で検出コイルを作製し、マグネトメータを作製した。予備実験の結果は解析結果とおおよそ良く一致した。
著者
美濃谷 直志 川上 覚 円福 敬二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.383, pp.31-35, 1997-11-20

傾角30゜のバイクリスタル基板を用いて高温超伝導SQUIDを製作した。T=77Kにおける傾角30゜のバイクリスタル接合の特性は接合幅W=2μmで大きな抵抗(R_s=10Ω)、高いI_oR_s積(I_oR_s=250μV)を示した。また、この特性は今回製作した17個の素子で再現性良く得ることができた。SQUIDの変調電圧では、インダクタンスがL_s=60pH、100pH、160pHでそれぞれΔV=85μV、50μV、20μVと非常に大きな変調電圧が得られた。雑音特性ではL_s=60pHのSQUIDでΦ_n=6μΦ_o/Hz^<1/2>(白色雑音領域)、f=1HzではΦ_n=110μ_o/Hz^<1/2>であった。そして、f=1Hzでの1/f雑音から求められる臨界電流の揺らぎの割合はδI_o/I_o=1.7×10^<-4>であった。この値は従来の傾角で報告されている値と同じであり、傾角に依存しないことがわかった。以上の結果は傾角30゜のバイクリスタル接合がSQIDの高性能化に有効であることを示している。