- 著者
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赤松 茂
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
- 巻号頁・発行日
- vol.80, no.8, pp.2031-2046, 1997-08-25
- 被引用文献数
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175
コンピュータによって顔画像の個人認識を行う技術の最近の研究動向について述べる. まず, これまでに多くの研究が行われてきた正面顔画像による個人識別を目的とした顔パターンの表現法について紹介すると共に, 更にこれらを顔の姿勢変化による見え方の変化を許容する方向に拡張しようとする研究の動向について述べる. また米国においてそのようなロバストな顔認識技術の確立を目指した研究の推進の原動力の一つとなっている顔認識技術開発計画FERETの動向についてもあわせて解説する. 更に, コンピュータによる顔の認識をコンテンツによる映像データベースの検索や編集というメディア処理の要素技術の一つとしてとらえ, 顔が伝える感性的な情報に対する人間の認知特性をコンピュータによる顔の認識に反映させることを狙いとして, 人間による顔認識過程をモデル化しようとしている試みについても紹介する. 最後に, 個人識別やデータベース検索など, 顔に対するさまざまな高次視覚情報処理を実現する前提として重要な, シーン画像から顔パターンを抽出する機能の実現についての研究の現状を述べる.